松本 城山公園(長野県)
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旅館まるもでヒメマスのおいしい朝食をいただいた後、中町通りを散歩した。中町通りは20年くらい前までは蔵造りが数軒目立つ程度で普通の一見看板建築(看板の中身は土蔵造り)の商店街だったが、ある時から各店の看板が取り外され店蔵が姿を現し電柱が地中化されるなど整備が始まった。そして、現在のような白壁の町並みになった。駅と中町通りの間の町並みが区画整理で失われたのは残念であるが、昔を知っているだけあって中町通りがこれほどまでになるとは驚きである。こうして、町並みが見出されて伝統的な景観が息を吹き返すのは素晴らしいことだと思う。整備が進行すると新しいポイントも増える。こんな海鼠壁に囲まれた路地があったんだと今回も発見があった。(松本はほかにも城北の旧善光寺街道や中心繁華街の大手、郊外の旧遊郭横田、浅間温泉など見るべき町並みがある。)
松本 失われた町並み(長野県)
散歩から戻ってカフェまるもで珈琲ブレイク。この店はクラッシックがいつも流れている。松本に来るとやることがもう一つある。高台に上って北アルプスと安曇野(松本盆地)を一望すること。行きなれたアルプス公園へ行ってみた、、、が北アルプスが全然見えない。建物が増えたこともあるけれど、木々の背丈が伸びて見えなくなってしまった。隣の城山公園に変更する。ここは展望台があるからちゃんと見える。私はいままで、うれいい時も悲しい時も、節目節目にこの場所に来ては自分を見つめ直してきた。今回の縦走紀行も50歳という人生の節目を前にして自分の歩んできた道を見つめなおそうというものだが、その旅の中でこの場所に立つのも感慨深いものである。これから自分はどのような人生を展望するのか、答えはこの旅を終える北海道宗谷で出るものなのか。日本を最南端から最北端まで駆け抜ける旅は、ここ松本がちょうど中間地点である。改めて気を引き締めて北を目指そうと思う。
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松本 中町通りの町並み(長野県) |
松本 中町通りの海鼠壁につつまれた路地(長野県) |
【回想】松本 大手の町並み(長野県)
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昨日、大町から松本へ移動する途中、安曇野の真っただ中にある池田町でいい町並みを発見したので、今日はこの町から歩くことにした。池田は高瀬川左岸の平野部にあり、明治末期まで松本と糸魚川を結ぶ千国街道の宿駅だった町で、昭和初期まで製糸業で発展した。しかし、大糸線や国道147号線が高瀬川右岸の松川村を通るようになり製糸業も衰えた。過去に栄光のある町ほど保守的になり鉄道など新しい文明を拒む。すると町は廃れ、皮肉にも栄華を誇った時代の町並みは残る。日本全国、この現象が多かれ少なかれ起きているのだ。池田の町並みは旧街道に沿って一直線、ところどころに古い町家が残っている。全面格子の切妻平入りの建物や海鼠壁の土蔵造り、本棟造りもある。
池田の町並み(長野県)
ここからは長野県北部の町並みを立て続けに歩く。池田から生坂村を経て犀川通船の河港として栄えた信州新町へ。明治、大正時代は、養蚕と麻の取引が盛んだったそうで、白壁の蔵造りを主体としたなかなかの町並みである。古い町家と下見板張りの郵便局が向かい合う場所が一番の見どころだ。ところで、暑さはピークに達している!
国道19号線をどんどん進み善光寺平に下る。千曲川を渡って松代へ。松代は3度目だが今までの写真があまりにプアなので撮り直しにやってきた。武家屋敷関係はしっかり残され修復整備が進んでいる模様だが、町家や古い映画館などは失われたものの多いようだ。もっと早く来てればと思っても後の祭り。町並みはその時歩こうと思うかどうかが勝負なのである。それにしても暑い。今年初の日傘攻撃をとったが、町を歩き終えて冷たいものがほしくなってたまらずカフェに入りクリームあんみつを食べてしまった。太る。。。
松代で日傘攻撃(長野県)
ここで、長野県北東部の町内に触れておく。長野は先にも説明した通り思い入れが強いから探訪数も東京に次いで多く、紹介しだすときりがない。本当に代表的なものだけ。善光寺平では善光寺の門前町、須坂、温泉町系では渋温泉、田沢温泉、街道系は絞って海野、茂田井、望月が綺麗な町並みとして抜けているかもしれない。
【回想】茂田井(長野県)
松代ICから上信越道で北へ進む。長野県も最北部に近い信濃町。旧北国街道の宿場町柏原を歩く。この町、何が有名かというと小林一茶が住んでいたこと。柏原宿の古い町並みはなく、一茶の家をはじめ数棟が残っている程度であった。ただ、黒姫駅前に年季の入った旅館があった。いわゆる駅前旅館。かつてはスキーや避暑地観光で人気のあった黒姫駅だが、今はかなり廃れてしまっている。この旅館、いつまでも現役を貫いて営業を続けてほしい。
野尻湖と黒姫山(長野県)
野尻湖は斑尾火山によって堰き止められてできた湖。湖畔は早くから在日外国人の別荘地として開発された。したがって湖の周りは別荘地ばかりだが、一番奥に農村の菅川集落がある。寄棟茅葺屋根(トタンカバー含む)の集落で野尻湖に向かった緩斜面上の田園の中に古民家が佇む。湖の向こうには黒姫山を眺める絶景。この村の人たちは一年中この絶景を眺めて暮らしているのだ。
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池田 旧千国街道の町並み(長野県) |
信州新町の町並み(長野県) |
信州新町の町並み(長野県) |
【回想】松代にかつてあった建物(長野県) |
【回想】渋温泉(長野県) |
柏原 黒姫駅前の古い旅館(長野県) |
菅川 野尻湖畔の集落(長野県) |
まだ時間が早い。よーし、最後の上諏訪で町歩きができそうだ。信州北端から信州ど真ん中まで高速道で移動。日没前に急いで町を歩こう。ところが上諏訪は街が大きく全体が温泉街だから歩きどころを絞り込むことができない。今回は旧甲州街道に焦点をあてて歩くことにする。駅前から東への旧甲州街道には戦前の看板建築が並んでいる。その質と量は高く純度も高い。これは、昭和初期に大火がありその後復興した町並みに違いない。ピンポーン!後で調べたら昭和元年に大火があったそうだ。そして、さらに東京方面へ進むと蔵造りが出てきた。造り酒屋が集まっている町並みだ。上諏訪は広範囲に見どころがありそうだ。次回の初っ端に残りを歩きたいと思う。
第19日の日は暮れた。諏訪湖畔の公衆浴場「片倉館」で汗を流し旅を終える。第20日は再来週立て続けだ。上諏訪からいよいよ本拠地東京を目指す。
上諏訪 片倉館(長野県) |
上諏訪 旧甲州街道の町並み(長野県) |
上諏訪 旧甲州街道の町並み(長野県) |
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