にっぽん集落町並み縦走紀行 
  
第13日 豊岡(兵庫県)~西神(兵庫県)
     豊岡 久美浜
  加悦 三浜小崎 福知山 淡河
 

加悦(京都府与謝野町)
 
 今朝はすごく天気が良い。朝からお日様が拝める。豊岡の町は大きいので、クルマで流しながらポイントを絞っていく。城下町時代の町人地から発展した元町と城南町界隈に見どころがあった。しかし、古い町割りのはずなのに妙に道路幅が広い。跡で調べたら、大正期に大地震があってその復興で町が整備されたらしい。元町、城南町と歩いていくと、間の部分の町割りがおかしい。城下町時代は内堀の役割を果たしていた池のあったところで、後世に二つの町をつなげたからのようだ。古い町並みはちょこっとしかなかったが、本卯建の商家や洋風の商家が見られた。
 
豊岡 元町

 京都府に入り、日本海の塩水湖に面する久美浜を歩く。久美浜は、かつて丹後・丹波・但馬・播磨・美作という5か国の県庁所在地にまで上りつめた町だが、今では小さな一地方の町である。補助金事業で町並みの修景整備が進んでおり、以前に1枚写真撮っただけで過ごした時の印象とはずいぶん違う。
 
久美浜 あるの?ないの?
 
 次は、山陰東部での最大の取りこぼし町=加悦。丹後地域はほぼ歩いていたものの、最近この加悦が重伝建地区に指定された。いままであまり聞いたこと無かったのに。でもさすが重伝建で、古い建物がたくさん残っている。しかし、守られてると言われると感動しないひねくれ物の自分がいる。町の写真を撮っていたら、近くで遊んでいた子供が寄ってきて写してくれという。人懐っこいやつだ。
 隣の岩滝も町並みとしてリストアップはしていたが、クルマで流してスルーした。もうすでに相当疲れが溜まっている証拠である。

加悦ちりめん街道の町並み
 

豊岡 元町

豊岡 城南町

久美浜一区の町並み

加悦 ちりめん街道の町並み
 

 急いで巡っているので、時間は前倒し気味。よーし、思い切って舞鶴まで行っちゃおう。舞鶴の町は東・西・中舞鶴と歩いているものの、半島の先にある漁村集落が残っている。丹後から若狭にかけての日本海岸には伊根町(亀島平田)、美浜町をはじめ舟屋の見られる集落が多い。なぜ目的の三浜・小崎に行きたいかというと、ここにもきっとあるに違いないと思っているからである。加悦からは宮津を越え、東・西舞鶴を越えなければならず、結構時間を要した。それまでにして行った三浜小崎であるが、遠浅の浜辺にはキャンプの行楽客でいっぱいだった。まぁ大型連休なんだから当然といえば当然か。
 小崎の方は無かったけれども、三浜に方には砂浜の上に建てられた舟屋が残っていた。当然、伊根のような水上系ではない。そして、驚いたことに手つかずの茅葺屋根の民家も残っていた。
 
三浜の舟屋
 
 さぁ、南に下ろう。丹波の盆地の町福知山へ高速を飛ばし急ぐ。高速のインターから町まで結構渋滞でイライラ。さらに悪いことに町が大きく、ちゃんとやろうとするととても時間が足りない。しかも、空が急激に暗くなってきて、雷が鳴りだした。こりゃ土砂降りになるのは時間の問題と思われるので、先駆者のサイトを調べながら、要所だけを歩くことにした。由良川に近い下柳町菱屋町界隈には比較的いい町家が残っているので、雷の近づいてくるのに注意しながらそこを取材し、新町のアーケード街に入った。すると突然、爆竹でも鳴らしているかのようなパンパンという音が鳴りだした。そして、その間隔が短くなっていき、やがてバリバリバリと。雹だ!雹が降ってきてアーケードの屋根にぶつかっている音だったのだ。降り方の頃合いを見計らってクルマの中に逃げ込む。クルマの屋根もバリバリバリ。雷雲の通り過ぎるのを待った。というわけで、福知山は十分な取材ができなかったから、またいずれ歩きなおす時が来るであろう。

福知山で雷雨と雹
 


三浜の茅葺民家

【回想】 伊根町亀島(京都府)の舟屋

【回想】 美浜町(福井県)の舟屋

福知山の町並み
 
 高速で盆地を抜けると日が差してきた。変なお天気である。中国道と合流する吉川ジャンクションから大阪方面が大渋滞している。私は、中国道を逆方向へ進み吉川インターで降りたが、出口を通過するだけで30分要した。
 もう日がかなり傾いているが、日が長いので助かっている。明日は、余裕をもって淡路島以南に集中したいので、なんとしてでも今日中に神戸市北区の淡河(おうご)を歩いて終えたい。
 淡河は山陽道の裏往還であった湯山街道の宿場町。といっても茅葺屋根(トタンカバー)の町家も並ぶ農村風の宿場町である。やはり、神戸市北区は古民家の残存率が高い。

 今日の宿は、神戸の中心市街にとれず、西神ニュータウンというところにあるオリエンタルホテルである。辺鄙な場所ではあるが、まぁオリエンタルホテルといえば神戸を代表する老舗ホテルだから悪くはないはず。この旅での最後の晩飯だし、奮発して神戸牛の鉄板焼きをおごってしまった。実はその思いにはわけがある。20年ほど前、神戸で仕事していた時、始めてステーキの鉄板焼なるものを経験した。肉といいガーリックライスといい絶品だった。その味が忘れられず、その後何度も神戸で鉄板焼を食べたけれどあの味を超えるものはなかった。ところが、今晩の西神オリエンタルホテルの鉄板焼きレストランは、熟年のシェフに巡り合ったのもよかったのか、あの時の感動が再現された。こういう時ってめちゃ幸せである。お値段もさることながら「ありがとう」といいたい。
西神オリエンタルHで鉄板焼
 

淡河の町並み

淡河の町並み
 
 
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