下総(2003.12.7・14・21)
関東地方の中で、千葉県はあまり行きたいと思わない。理由は2つある。ひとつは出身が東京西部の多摩地区で東京より東には縁遠いこと、もうひとつは千葉に行くと車がぶつけられたり故障したりするからである。そんなわけであまり千葉県の特に東京に近いエリアはいままで行こうと思ったことが無かった。
今回は毎週末、3日に分けてこの行こうとも思ってなかった地域を歩くことにした。
1日目は城下町の佐倉と港町の銚子。佐倉は細長い台地の上に計画された城下町で、低地に新市街、台地上に旧市街の関係が明快でおもしろい。銚子はどこに町並みがあるか紹介本やサイトがないので、動物的勘で探すこととした。銚子には私鉄が走っているが、大抵の場合私鉄が旧市街を走っていることが多いので私鉄の駅名をチェック。「本銚子」という調子のいい名前の駅の利根川側に、出っ張るように厚みのある市街地が形成されている。道も出っ張り方にしたがって曲がっている。これは道が地形に沿って曲がっている証拠で、漁村の形態でよく見られる。ということで、その出っ張りエリアを探索したら町並みはあった。あとは旧市街と新市街を結ぶ商店街があるはずで、案の定銚子銀座を発見。他にもあるだろうが、銚子入門編としてはこれでよかろう。
2日目は、旧江戸川に沿った細長い部分の千葉県を巡る。途中、埼玉県の吉川市で街道沿いに古い町家が並ぶ町並みを見つけたため降りて歩いてみた。関宿と境町(茨城県)と西関宿(埼玉県)は県境と川を跨ぐ城下町。野田は醤油醸造で栄えた産業城下町。流山、松戸は河岸と宿場で栄えた町並み。いずれもなかなかの収穫であった。千葉県も結構面白いじゃないか。
3日目は東京湾に近いエリア。千葉街道成田街道の宿場町である船橋からスタート。遊郭エリアのみの情報で訪れたが宿場や港町エリアもあり多彩な町並みがみられた。行徳は江戸川沿いの水運と街道で栄えた宿場町。東京に隣接する場所でよくここまで残っているものだ。
最後は浦安。車で通ったことがあったのでたいしたことはないだろうと思っていたが、旧市街を歩いてみてびっくり。あのディズニーランドのある浦安にこんな古い町並みがあったとは。
この3日間で千葉県に対する意識は完全に変わってしまった。もしかすると江戸川沿いは、東京に最も近い町並みの宝庫なのかもしれない。江戸東京に物資を供給する利根川水運は、中継地としての河岸集落にかなりの富をもたらし、高いグレードの町並みが形成された。「過去の栄光のある町並みは簡単には変われない」の法則」にしたがって鉄道は離れ道路はバイパス化されるのである。
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