ドック前電停から市電に乗る。一気に函館の街を縦断して北部の五稜郭公園電停まで移動。昨晩飲んだくれた街だ。まずは、五稜郭へ行こう。五稜郭公園を訪れるのは今回が初めてで、星形の城郭は意外と小さいなぁと思った。中には復原されたばかりの箱館奉行所がある。実は私の大学研究室の師匠が手掛けた建物でもあるので、内部も見学すべきであろうが、今は万訪モードなので外観だけ拝んで失礼する。
本町にもどり歓楽街を歩く。函館一と聞いていた歓楽街だけれど、ギュッと固まっていないせいかインパクトに欠ける。そこから電車道を南へ歩いていく。電車道には昭和9年の大火後の看板建築が並んでいる。しかし、裏の住宅地にちらちらと土蔵も見えるので、丹念に見ていけば大火の延焼を免れた建物も残っているのであろう。
函館 本町の歓楽街
中島町まで歩いてきたところで歩行者天国になっている商店街を発見。誘われて入っていくと幅広の通りに一部バラック系の建物が建ち、市場を形成している。これは明らかに戦災復興都市で見かける闇市の形態だ。函館は戦災に遭っていないから、昭和9年の大火後の市場に違いない。後日調べたら函館市民の台所と呼ばれる「中島廉売(レンバイ)」という町で、昭和9年の大火後に露天商が集まって作った市場が起源となった商店街であることがわかった。電車道をさらに南に下った新川町の自由市場もそうであろう。
函館 中島廉売(北海道)
結局ずるずると函館駅前エリアの松風町まで歩いてしまった。松風町も中部地区の繁華街で、商店街と飲食店街がある。狭い路地に「菊水小路」と看板のある通りがあった。1階が店で2階が置屋のいわゆるブルーラインかもしれない。今日は午前午後で15kmは歩いただろう。もう足の脹脛がパンパンである。アーケードの喫茶店でケーキセットを食べて休憩。筋肉をやわらげてからもう一度金森倉庫のスターバックスに戻り時間をつぶした。函館は北海道で一番古い街だけあって、小樽や札幌とはまた一味違った奥深さを感じた。大火に何度も見舞われていることは残念であるが、戦災に遭っていないことで昭和初期以降の町並みが連続してみられるのも特徴である。これから何度も訪れたい町だ。
函館発羽田行のJAL便は19:00ちょうどに飛び立ち縦走紀行第33日の幕を閉じた。次回は11月下旬、いよいよ縦走紀行の最終回となる。3日間かけて函館から最北の宗谷を目指す。その時、北海道はもう冬であろう。
函館 弁天町にて
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函館 五稜郭の箱館奉行所(北海道) |