海界の村を歩く 下五島

海界の村を歩く 五島列島 movie

海界の村を歩く<第3話>前回の上五島編に引き続き五島列島。今回は下五島の福江島を2日間かけて一周します。

金曜日の夜、福岡空港に降りました。
@博多港から出る夜行のフェリーで直接福江へ向かうか
A長崎で1泊して翌朝高速船で渡るか
どちらも土曜日の朝ほぼ同じ時間に福江港に着くのです。
休み明けの月曜日から会社だし、身体に負担のかからないA長崎経由を選択しました。
自分にあまっ!おやじやなぁ

土曜日、長崎大波止の朝、天気は良好です。

前回のような悪天候による欠航トラブルもなく、予定通り五島列島福江島へ向け、ジェットフォイルは出港しました。



早朝 長崎大波止のホテル客室から
島の中心都市福江の市内から歩きましょう。

福江は五島藩の旧城下街。中級武士が住んでいたという武家屋敷通りには
珍しい石塀が400Mつづいていて見事!家屋もわずかに残っていました。穏やかな午前中の日差しが心地よいなぁ。この珍しい石垣は、この後、福江島の随所で出会うこととなります。

旧町人町は商店街になっていて、かつて江川城があった
の上の裏町にスナックがちらほら。この辺りが遊里なのかしら。

商店街には
電気自動車の集団が・・・
どうやらレンタカーのようで、船で到着した利用者がいっぺんに繰り出したようです。

近世後期に江川から石田へ移動した城は、海に面する海水濠の城郭でした。隠居のために造られた
庭園は素晴らしいものでした

 

福江 武家屋敷通り

福江 旧遊里界隈?

福江 商店街

石田城の郭内にある五島氏庭園 
ちょっと早いランチ所を福江市内で探しました。前もって下調べしときゃよかった。小さいながら駐車場を多く持つ鮨屋があった。期待できるかもと直感で入ったらこれが大当り!安くてボリューム満点
上にぎりを頼みましたがネタの大きさが厚みも含めて二倍。栄町商店街を入ってすぐ左の裏手にある「やぐら寿司」です。



福江のやぐら寿司で豪華ランチ
五島列島には、江戸時代の隠れキリシタンの子孫達のために明治期になって建てた、あるいはその後建て替えた教会(天主堂)が沢山あります。弾圧迫害など悲しい歴史もありますが、現在では素晴らしい自然とともに観光の重要な要素となっています。世界遺産の候補にもなってる。

前回の上五島に引き続き、福江島でも
堂崎水ノ浦楠原の3棟を見ました。とてもいいですね。設計施工をした鉄川与助
(すべてではありませんが)達はたいしたもんだなぁと。煉瓦造、石造、純木造と様々な構造を用いながら、塔のあるなし、アーチの形など多種多様。とにかく建っている場所、自然との関係が素晴らしい

ただ、集落から離れて建っているケースが多く、集落景観を引き立てるような存在になっていないことが残念だった。
集落との関係が希薄。天草の崎津のような集落とのかかわり(当サイトのロゴバック)を期待してたのですが・・・。

そして肝心の集落の方は、福江島ではいまひとつですね
。自然景観が素晴らしいのに。あっても石垣だけでもっているとか。二日目に期待しましょう。


 

堂崎教会

堂崎教会 内部

戸岐集落にて
海岸線ながらちょっとしたワインディングロードになる。五島列島の地形は変化に富んでいます。

岐宿(きしく)はその名から想像できるように、かつて遣唐使船が日本で最後に寄港した港だったそうです。その頃の面影は流石にあるわけもないですが、立派な屋敷地が多く、石垣が見事でした。

旧岐宿町(現五島市)には二つの古い天主堂が残っています。
海岸沿いには白亜の水ノ浦教会
内陸には煉瓦造の楠原教会

立地も形態も対照的で面白かった。


岐宿 石垣の集落

水ノ浦教会

楠原教会
昨晩は福江島の南東、リアス式海岸の半島先端にある玉之浦という漁村に泊まりました。今日は雲ひとつない晴天!港でのんびり佇んでいると気持ちいい。澄んだ海水は底が見えて小さな魚が沢山泳いでいる。波の音、漁船の音、そして小鳥のさえずり。新緑の山とそれを映した水面の緑。集落の茶色と真っ白な教会。やっといい集落に巡り逢えたなぁ

いつまでも佇んでいたですが集落も歩かなきゃ。
港の海岸線と裏山の崖線に挟まれたわずかな平地に集落は形成されています。湾の線形にしたがって大きくU字型を描いていますが、
崖線のうねうねに従っているため貫く一本道もうねうねです

集落の端っこに神社があってその前に
あやしい建物群が!おそらく遊里でしょうか。近くに現役の料理屋がありましたから間違いなかろう。いい町並みでした。

玉之浦集落 

旧遊里かな?(玉之浦) 

大宝集落(旧玉之浦) 
険しいリアス式海岸があると思えばなだらかな裾野を広げるアスピーデ火山地形もみられるのが福江島です。富江町はそんな火山の裾野上の街。港からは海を挟んで別の火山鬼岳・火ノ岳も眺められます。
富江の石垣は今まで見てきたものより黒く穴がたくさんあいている石火山の性質が違うのでしょうか。

富江に対して半島の反対側にある黒瀬は
捕鯨で栄えた集落(画像は黒江)。とはいえめぼしい民家はありませんでしたが、黒い溶岩の石垣と板壁のコントラストが印象的でした。黒い石の敷き詰められた入り江だったから黒瀬なのかな?

さらに面白いのは集落のはずれにあった
石造の蔵です。このような造りの蔵は、以前対馬でも見たことがある。大陸からの影響だったりして・・・と思ってしまうのも東シナ海の島だからでしょう。


富江港からアスピーデ火山の鬼岳・火ノ岳を臨む

黒瀬集落のはずれにあった石蔵(旧富江町) 
福江島の東海岸を北上します。ここらは高原状の見晴らしのよい地形で、右手の視野には広い海原と点在する島々。なんと美しい風景でしょう。

アスピーデ火山の鬼岳、火ノ岳は裾野を広げ円形の大きな半島となっています。その裾野が海に落ちるところに
浜町(大浜・小泊)という集落があります。特徴はここでも溶岩による石垣。黒くごつごつした溶岩塊が素朴に積み上げられた石塀があったりして、まるで軽井沢の鬼押し出しみたいな不思議な景観でした。

これで福江島を反時計回りに一周しました。クルマを止めて北の海を眺めると、
上五島へ続く島々が、あたかも地続きの半島のように見えました。


浜町集落(旧福江市)

福江島から上五島へ続く島々を眺める 
最後に、樫の浦という漁村にやって来ましたが、くたびれてしまってもう歩く気がしません。クルマのなかでぐったりしています。今日は福江に早めに戻り、昨日の昼飯を食べた「やぐら寿司」にもう一度行って、魚介類を堪能することにしよう。身体が集落より食だと言っている。誘惑に弱いなぁ。
ということで、
最終日17:00 福江にて早々と一人打ち上げしてます。

下五島の旅。集落は海界の村とは呼びにくい穏やかな場所がほとんどでしたが、
石垣・石塀、そして何と言っても綺麗な海、これが五島の集落です。家屋はボチボチですが教会は素晴らしい。これに尽きます。今日、最後に上五島へと連なる島島を眺めた時、これが五島列島なんだなぁと納得しました。

2ヶ月に及んだ旅も、この鮨屋で終わります。刺身、ウニ、ホタテのバター焼き、超旨いです。酒がかなりまわってきました。最後はどうしようかな?五島うどんでしめるか、巻物でしめるか。
みなさん、
五島列島はいいところですよ。訪れれば必ずそれぞれの良い旅が堪能できるでしょう。

次は、いらかぐみ京都オフ会で会いましょう!