遊里を歩く
遊郭、花街、赤線、青線、カフェー、特飲街、歓楽街、トルコ街、ソープ街、風俗街・・・、女性を求めて男性が遊んだ町は、時代を問わず、国を問わず常に存在し続けている。これらの町を「町並み」として観察すると何が見えてくるのであろうか。時代時代の流行やスタイルが現れた独特の意匠に飾られた建物群、共通した立地性と都市計画の痕跡、なぜか現代まで残っている古い町並み、町が栄えた頃の記憶を最も残している町、などなど旧遊里を歩く魅力を語ると尽きない。
遊里は町はずれの立地や過去の記憶からであろうか、開発から取り残されている場所が多い。しかし、現役でない遊里たちは、いよいよ都市再編の手をつけられ始めている。遊里は、戦前〜戦後の古い町並みとして今まさに旬を迎えているといえよう。
 
集落町並みの歩き方見つけ方 遊里編
 
全国津々浦々 遊里リスト
文献やサイトから、全国の遊里(旧、現役問わず)を網羅すべくリストアップした。それぞれの場所には、町並みWeb集団「いらかぐみ」の協力を得て情報のリンクを張っている。
第1話 東京 城西編
 日本一の現役遊里である新宿東口界隈から東京城西地域を歩く。戦前、戦後に開業したそれらは現在どういう街になっているのか。現役を張っているもの、細々とスナック店が数軒残っているもの、住宅地になっているもの、などなど。東京の「夢の町」の痕跡を追うマニアックな旅のはじまり。
第2話 東京 城南編
 東京城南は、田園調布や洗足をはじめとする東急沿線の高級住宅街のイメージがある。ところがそれらは丘の上のことで、東京湾に注ぐ川沿いの低地は工業地域であった。両者の間に形成された商業地は、表こそ買物のお店が並んでいるが、裏には男たちの遊び場があった。また、都心部にはビジネスの接待場としての花柳界も、やはり低地の水のある場所に形成されていた。
第3話 東京 城東編
 東京の城東地区というといわゆる下町。江戸時代から近代にかけて繁栄してきた一大商業集積エリアでであり職人や労働者の働き住まう場でもある。人の集まるところに必ず遊び場ありとなれば、このエリアは当然ながら一大遊里東京の遊里の中でも一際ディープな街が目白押しだ。
第4話 東京 城北編
 東京城東編から隅田川を渡って旧江戸墨引内に戻ろう。城北編は江戸東京を通じて市中随一の歓楽街として発展した浅草を皮切りに下町の遊里を巡り、九段から山手の谷部に形成された遊里を伝って再度北上し、大正期以降に新設された郊外の花街・遊郭を歩く。まずは京の島原と双壁をなした吉原からスタートだ。