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集落町並みの歩き方見つけ方 【導入編】

集落町並みWalkingを初めてなさる方のために、私なりの歩き方をご紹介します。

準備
なるべく持ち物を持たず身軽にして歩きたいものです。車の場合は車の中に、鉄道の場合はコインロッカーに荷物を置いて、ミニサックに入る程度にしましょう。
私の場合、地図類をポケットに入れてナップサック(リュックサック)にはカメラ、予備電池、予備メモリーカード、傘を入れています。

下調べをしたほうがいいかどうかは一概には言えません。予備知識無しで訪れた方が、感動が大きい場合があるからです。しかし、調べないで行くとまったく勘違いの町を歩いて肝心な場所に行かないで帰ってきてしまうこともありますので、場所については下調べしてから訪れたほうがいいでしょう。重伝建地区であれば案内もありますが、そうでなければ町並みの場所についての情報というのは現地に行っても意外と無いものです。


地図
訪れる町をピックアップしたらそれぞれの町の地図を用意し、文献等に紹介されている集落町並みの場所や住所をあらかじめ地図の上に落としておくといいでしょう。当サイトのデータベースでは集落町並みの核心部分を表示するようにしているので参考にしてください。私の場合、訪れる集落町並みに対してA4版で1/25000地形図と空中写真を必ずセットで用意しています。それらは下記のサイトにて全国範囲で試験公開されています。
         1/2500地形図(国土地理院サイト)
         空中写真サイト(国土交通省サイト)

地図にはあらかじめ調べた情報を書き込んでおきます。そして、歩いたルートや歩いている途中で気づいたこともその地図の中に書き込んでいきます。帰ってきてから日付を入れてそのままファイルすれば記録になります。
地図や空中写真から集落町並みの核心部分を見抜く手法については、それぞれのケースに応じて紹介していきましょう。

1/25000地形図と空中写真

地形図を見ながら歩き、メモも地図に書き込んでおく


交通手段
鉄道で行ける場所で時間に余裕があり、集落や町並みのある場所があらかじめわかっている場合は鉄道利用の方が良いと思います。鉄道の場合、効率が悪いですが列車の時間まで急がずじっくり歩けるからです。歴史的な町並みはたいてい駅から離れているので、アプローチする楽しさも味わえます。また、乗り換え駅で時間があって途中下車したら思わぬ発見をするなんていう場合もあります。

車は、荷物が積めて目的地まで直接たどり着くことができて便利ですが、鉄道と徒歩で訪れた場合と比較すると感動は小さいでしょう。しかし、車の場合、あらかじめ集落町並みの全体を走って、みどころの見当や歩く範囲をおさえておいてから歩き始めるという「落ちの無い」作戦をたてることが出来ます。また、行動が自由なので目的地周辺で別の発見をする機会も多くなります。

私は最近、レンタカーをよく活用しています。レール&レンタカーでは切符と駅レンタカーを一緒に購入すれば乗車券2割引、特急券1割引となりますのでお徳です。また、ニッポンレンタカーでは県内乗り捨て料金無料の営業所が多いので、飛行機利用の場合に利用しています。車種は軽自動車が料金もガス代も安い上、小回りが効くためベストチョイスです。集落町並みは狭い道が多いですし駐車スペースが無いこともあるので、そういう面でも有利となります。

今では少なくなった個性的な駅舎
町並みの重要な構成要素である
(滋賀県彦根市鳥居本)
漁村を抜ける通りは特に道幅が狭い
(徳島県阿南市椿泊)


アプローチを大切にしたい
鉄道の場合は問題無いですが、車の場合は集落町並みの外に駐車してアプローチしたほうがいいでしょう。歩いて近づいたほうが感動が大きく、発見も多く、記憶にも深く残ります。一般に古い町並みや集落は駐車するスペースが無いので、地元の方に迷惑のかからない場所を選びましょう。駐車場があれば極力利用するのがエチケットだと思います。
私の場合、駐車場が無い時は、役場(観光客用に開放している場合多し)、金融機関、スーパーマーケット(大きい場合)、神社、集会所、JAなどの駐車場を拝借しております。

舟屋の並ぶ伊根集落
はじめに遊覧船に乗って海側から眺めておきたい
(京都府伊根町)

山の天辺にある社家集落
山を登ったところで突然現れるから感動する
(東京都青梅市御嶽山)


全体を眺めたい
目的地に着いたら、全体を眺められる場所へ行かれることをお勧めします。出来れば最初がいいでしょう。城下町であれば城址から、高台にある神社の境内から、漁村であれば港の防波堤から、といった具合に。全体を眺めてから内部に入っていくと、全体像とディテールが頭の中でイメージマップとして構築されやすいからです。

谷を埋め尽くす漁村集落を上から眺める
(高知県宿毛市母島)

山の中腹に広がる天界の村を向いの山から眺める
(徳島県東祖谷山村落合)


はずれまで歩きたい
集落町並みはかつての中心地に歴史的な建築が残っている場合が多いですが、端部にも素朴な形で残っていることがあります。また、宗教的な場所もエッジにあったりします。集落町並みのエッジ(外郭)を見てはじめてイメージマップは完成します。
経験的に集落や町のかつての中心地は、その集落や町の名前の付いた郵便局のある場所です。役場は建替に伴って場所が移っていることが多いためあてになりません。カーナビで郵便局を検索すればピンポイントでその集落町並みの核心部分に到達できます。

街道に沿った町並みの端部にある大きな商家
(長野県須坂市須坂)

遊郭街の端部に残っている古い建物
(大阪市飛田新地)


天気でコースをアレンジしたい
何ヶ所か訪れる場合は、天候に合わせてコースをアレンジしましょう。雨が降りそうな時間に都市や町並みをあてるとか。自然がすばらしい集落はやはり雨はつらいですから。
私の場合、雨の日には都市系の町並み歩きをあてています。自然を背景とした集落を訪れようとした日が不運にも雨となるようでしたら勿体無くても次の機会に延期するようにしています。

島の集落は晴天でなければ感動は半減でしょう
(石川県輪島市舳倉島)

雨の町並みは逆に風情があったりする
(石川県金沢市東廓)


メインは朝訪れたい
いつも見なれた住まいの近所を朝早く散歩したりすると、「結構良い場所だな」と感じたことありませんか。朝の集落町並みは格別です。ですから、旅の計画を立てるときはメインの集落町並みは朝訪れるようにしましょう。出来ればその集落町並みに宿泊したいものです。
集落町並みの印象は、多分に見る側の気分に左右されるものです。天候、時間、体調、精神状態などによって変わります。朝歩けば間違いなく印象はアップしますし、宿泊すれば愛着が強くなります。「このサイトのDATA BASEで☆☆☆☆だったから訪れてみたけれど、大したこと無かったぞ」という場所があったら、それば私の訪れたときの環境や体調がよほどよかったのでしょう。そんな時はあしからず。

午後の京都東山八坂界隈 人が途切れることはない
(京都府京都市東山八坂)

早朝の旧軽井沢は人っ子一人いない 日中は人人人
(長野県軽井沢町旧軽井沢)

さて、これからケースごとに集落町並みの歩き方見つけ方を詳しく紹介していきましょう。