にっぽん集落町並み縦走紀行 
  
第11日 高松(香川県)~相生(兵庫県)
     男木島 小豆島苗羽
  小豆島土庄
 

 縦走紀行第5弾は高松スタート。対象となるエリアは、香川県が瀬戸内海に浮かぶ男木島と小豆島、徳島県が徳島平野の藍住、兵庫県が淡路島ならびに但馬地方、岡山県東部の大原と県境を越えた鳥取県智頭町上板井原、京都府日本海側の舞鶴近くの半島の集落と福知山と6県に及ぶ。その集落町並みを大型連休の後半に3泊4日で駆け抜けるというもの。当初は、香川県徳島県岡山県兵庫県京都府の順で廻って大阪を終着地に考え、大型連休ということもあって早々と往復の交通機関、宿、レンタカーの確保を済ませていた。この行程、ネックになるのは船で往復する瀬戸内海の二つの島で、後半は地続きだし詳細な時間割りを作成していなかった。大型連休を前にして後半の詳細な検討に入ったところ、4日目にとんでもない距離と数をこなさなければならないことが判明、というか破綻していた。ここは思い切って計画を練り直すしかない。二つの島巡りの時間を短縮し、長い中国地方に余裕を持たせ、最終日の走行距離を少なくするために行程を全面的に見直した。

 いくつもの行程を検討した結果はこうである。第11日、高松から男木島を初日午前中に往復する。すかさず小豆島に渡って、南東部の集落をクルマでさっと回りその日のうちに岡山へ渡る。第12日から第14日まではレンタカー。同一県で借りて返却しないと高くつくので、第12日の早朝に兵庫県の西のどこかでクルマを借り、また岡山に戻って鳥取県、兵庫県但馬地方、京都府丹後地方を2日かけて時計回りに走って神戸で泊。第14日は淡路島をいったん通過し徳島平野の藍住を先に歩いたあと淡路島の集落を周遊、本州に戻って兵庫県の東部でクルマを返却し大阪で終了するという計画だ。しかし、大型連休直前のため宿とレンタカーが思うように確保できない。結局、兵庫県相生駅前、豊岡駅前、西神ニュータウン駅前というマニアックな場所のホテルを辛うじてリザーブし、レンタカーは姫路駅前で借りて明石で返却することになった。さて、今回の土壇場での変更バタバタが気がかり、こういう時は旅に出てもトラブルでバタバタしかねない。順調にミッションを全うできるだろうか。


男木島(香川県高松市)
 
 11日の朝。今回も「はじまりはいつも雨」である。夕べ泊まった宿は、高松市兵庫町で駅前大通に面している。数年前に設計した建物がすぐそばにあるので立ち寄った。そういえばこの現場で仕事を終え町でも歩いてから帰ろうかと思っていた時、妻が倒れ病院に運ばれた知らせがあり、慌てて東京へ戻った。あれから5年が経った。以来、高松に来るとその時の自分の心境にフラッシュバックしてしまう。

雄雌島海運

 高松港から男木島への渡船は、卓越風が吹くため屋根の高さまで石垣を巡らした集落形態が特徴の女木島に寄り、観光客の7割を降ろして男木島へ向かう。ここからがはじめての道だ。男木港に近づくにつれて集落のかたちが見えてくる。うむっ!これは良さそうだ。長年の経験から保証できる。
 男木島集落は、斜面に石垣で宅地を作り、細い道が迷路の様に巡っている。それだけでも評価が上るが、香川県ならではの本瓦葺屋根と舟板もみられる板壁が見事で、文句なしに5つ星を獲得。そうだ、この男木島が
2000ヵ所目だ。記念すべき区切りを飾るにふさわしい集落町並みだといえよう。私は、じっくりかみしめるように、集落内の全ての道を歩いた。

男木島でもアート

 高松港に昼前に戻る。港へ着く際に東側に有名な遊郭街が眺められた。高松といえば讃岐うどんが定番。市内で麺類といえばいままでうどん屋しかなかったが、ついに徳島ラーメンの店が駅前にできていた。高松に来た証としてうどんを食べるべきところをその徳島ラーメンに誘われて入ってしまった。この徳島に誘われたことは偶然ではなく、後で大きな判断を狂わせることにつながる。小豆島への船の出航までまだ時間があるので玉藻公園をぶらついた。天守の石垣整備工事が進められていた。
 

【回想】 女木島 現在手前の海が埋め立てられている

男木島で生涯2000ヵ所達成!

男木島 密集した石垣と板壁と本瓦の町並み

高速艇で小豆島へ

 小豆島土庄港へは高速艇で
35分。さぁ、4時間で小豆島の要所を片付けなければならないが、男木島の様な濃い集落がいくつもあったら時間が足りない。普段は濃い集落に期待するが今日は逆の気持ちである。港に着くと真っ先に船を降り走った。島の港ではタクシーが待っているが台数が限られていることが多く、モタモタしていると先客に取られてなくなってしまう。そうなるとと港で立ち往生することになる。予想に反してタクシーはたくさんとまっていた。「石井サイクルへ行ってください」バイクを借りるためである。GW直前に急遽行程を変更しての予約だったのでレンタカーは満車、町の自転車屋さんでバイクを借りる羽目になった。天気が回復してくれてよかった。
 国道436号線を東へ飛ばす。右手に海を眺めながら、バイクは危なっかしいけど気持ちがいい。30分で醤油の醸造で有名な苗羽に着いた。集落というよりマルキン醤油工場の建物の町並みである。景観としては悪くはないが、観光駐車場の出入りで道が渋滞するほどの観光名所ぶり。こうなるとさっさと済ませたくなる。やや離れたところにある町場はそれなりだったので、くっつけてデータベースに掲載しよう。苗羽から先の坂手港もいってみたがボツ。余裕のない心境だと町の評価がどうしても低くなってしまう。さて、ここから島を一周したいところだけれど、もちろん今日は時間的に無理なので土庄にもどって土庄の町を歩く。残したことで小豆島にはまたくることができる。


 土庄はとらえどころの難しい町だ。日本一狭い海峡とやらの南側の町が土庄の旧市街で、特徴いえば迷路のような路地。「迷路の町」とよんで町おこししているが、別にこういう町は漁村であれば普通にある。石垣や板壁がきれいだったので辛うじてデータベースには残った。

迷路の町のマスコット?

 そこに、<いらかぐみ>
Yasukoさんから携帯に電話が入った。岡山在住のYasukoさんは、私のブログのライブレポを見ていて岡山を経由することを知り電話をくれたのだった。同じく岡山在住の旅情浪漫館さんと3人で、岡山市内でいっしょに食事をすることになった。幸運にも?小豆島は見どころが少なかったので、予定より1時間早く岡山へ渡ることができた。港には旅情浪漫館さんがクルマで迎えに来てくれていた。

岡山新港到着
 


小豆島 苗羽(香川県小豆島町)

小豆島 苗羽(香川県小豆島町)

小豆島 土庄(香川県土庄町)


小豆島 土庄(香川県土庄町)
辻にマスコットが置いてあるのは何の意味?

【回想】 高見島浦(香川県丸亀市)
瀬戸内の島の集落は地元で産する石がふんだんに使われているものが多い
 
 
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