北九州 豊後U (2003.12.31)
泊まっているホテルのそばに日出という町がある。別府湾に面するこの町は、「城下カレイ」の生息する場所として有名であるが、ということはその生息場所の上に城があるわけで、したがって城下町がある。寝坊したい家族をホテルにおいて早朝にこの町を歩く。実にいい作戦を思いついたものだ。
武家屋敷町が残っているというので探すがなかなか見つからない。一般に、町人町や宿場町は見つけやすいが武家屋敷というの見つからないことが多々ある。車でくるくる廻っているうちに小学校のそばにあった。そういえば、城下町では城跡が学校になっている場合も多い。学校近辺を探すのもいい方法かもしれない。
今日のメインイベントは、鏝絵の里=安心院を訪ねること。安心院は。「あんしんいん」ではない、「あじむ」と読む。私は、てっきり町の中心集落か何かにまとまって鏝絵の家があるものかと思っていたが、なんと町内全域に散らばっている。その数も70箇所。とてもすべては見られないので、パンフレットに掲載されている主だったものを中心に巡る事にした。それでも3時間は費やした。絵柄は火除けや魔除けなどをテーマとしており、戸袋や破風をキャンバスに描かれている。作品は芸術的というより素朴でありなかなか滑稽である。作家も結構いたようで、広い範囲で分布するアートは、クリムトの環境芸術のようで面白い。
国東半島はずっと興味深い場所であった。何か不思議な集落町並みがあるだろうと思っており、まず内陸部の集落を訪ねた。しかし、いくつか目星をつけていたにもかかわらず特に興味を引くものは無かった。中野は両子山の周りに形成された放射状谷のひとつにある集落。「日本の集落V」という文献にいい茅葺屋根の集落が載っていたので行ってみたが茅葺はもう無かった。でも、なだらかな山村という国東半島ならではの素朴な集落を見ることができた。
国東は周防灘に臨む港町。中心市街の鶴川には若干の古い商家や屋敷が見られた。
海岸線を国見のほうに北上していく。すると、海の向こうに大きな島がかすんで見える。どこかと地図で調べたら山口県の祝島であった。昨年、5月に訪れた石垣の島。国東半島にある伊美神社と一緒に神事が行われる。「全く違うエリアと認識していた2つの場所が実はとても近くにあったんだ」と、昨年5月の祝島を思い出してしばらく浜辺にたたずんでいた。
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