薄衣(岩手県川崎村) |
薄衣は北上川と舞川、千厩川の合流点に位置し、北上川の舟運とともに宿駅として、物資の集積地として発展した町である。北上川を渡る旧街道の橋は、国道の新しい綺麗なデザインの橋に架け替えられていた。橋の無くなった旧街道沿いの町並みはL字に形成されている。古い町家は入母屋2階建て妻入が基本形で、町並みは空き地が目立つ歯抜け状態になっている。しかし、一軒だけ平入の一際高さの高い立派な出桁造りの町家が残っていた。江戸東京で見られる出桁造りそのままである。また、全体的に通りに面して蔵を並べることは無く、敷地の奥のほうに石倉が数棟見られた。 |
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摺沢(岩手県大東町) |
大東町は周辺の村が合併してできた町なので、中心市街地的な場所が散在している。一ノ関と陸前高田を結ぶJR大船渡線は、一ノ関から真っ直ぐ東へ進めばよいものを陸中門崎と千厩間で大きく北へ迂回して摺沢を経由している。摺沢は今泉街道と千厩街道の交差する交通の要衝。鉄道を迂回させるほど重要な町であったのかと思うほど立派な蔵造りの町並みが見られる。特に桝形近辺に大きな家が競うように建っていた。 |
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大原(岩手県大東町) |
大東町2番目の蔵造りの町並みである大原。鉄道駅は無いが徒歩時代に相当栄えたのであろう、摺沢に勝るとも劣らない蔵造りの町並みである。特に酔仙酒造の建物はすごい。赤瓦と赤海鼠壁、屋根周りの形状など、立派な店蔵では全国的にも上位にランクする建物ではないだろうか。
一般的な店蔵は妻入が多く、雪対策と装飾性の理由から海鼠壁が随所に使われている。
当時のこの地方の大工のデザインセンスと技術の高さが伺える。 |
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