戦災のない町を歩く
我が国の主要都市のほとんどは、第二次世界大戦時に戦災を経験している。特に県庁所在地のような大都市では町の大半を焼き尽くされたものが多い。しかし、延焼を妨げる川、丘、空地、不燃建物などの風下にあった町の中には奇跡的に戦災を免れたものも少なくない。戦後60年を過ぎ戦後に造られた町さえも急速に変化している昨今、戦災を免れた町に果たして戦前の面影は残っているのであろうか?。答えはYesである。
戦災に遭っていない町は大胆な都市計画による再整備が図られにくい。住んでいる個々の人々それぞれの事情で生活をしている都市の中では、町はそんなに簡単に変われないのである。
探訪シリーズ「戦災のない町を歩く」は、戦災を受けた都市の中にある戦災を免れた町を観察することによって、その都市が戦災を受けていなかったらどんな町並みになっているのか、想像しながら歩く旅である。
 
集落町並みの歩き方見つけ方 都市編
 
戦災のない大阪
 
大阪は、平らな土地に碁盤目状の町割りが施された城下町が基盤のようになっている。そういう点では京都に似ているはずであるが、戦災で都心部のほとんどが焼けてしまったため、古い町家が随所に残っている京都とは趣が違う。しかし、戦災を免れたエリアを歩くと違った都市の姿が見えてくる。
「戦災のない町を歩く」第1弾は商都大阪である。同様に戦災を経験している東京と比較しても独特の町並みを見ることができるのである。

 
戦災のない大阪マップ
大阪の都心部は主に4回の空襲を受けていて、ほぼ全域が焼けてしまった。しかし、大阪は水の都である。川が延焼を妨げる大きな役割を果たしたようだ。また、鉄道やわずかな丘の崖線の緑によって守られた町もある。終戦後にGHQが撮影した空中写真で焼け残った家並みを確認し、同じ場所を昭和後期の空中写真と比較することで、戦前の町並みが残っている可能性のあるエリアを絞りこむことができる。
この地図を持ってその町を歩いてみよう。面白いように戦前の建物が現れてくるだろう。