刈屋 沿岸工場地帯を臨む斜面上密集系漁村集落

山口県
小野田市
刈屋中村





交通

JR山陽本線小野田駅下車バス





刈屋





2005.06.26
小野田市は周防灘沿岸の工業都市で、セメントや化学薬品のわが国最初の製造地である。小野田港の沿岸には各社の工場が並んでいるが、その中に古くからの漁村集落がある。刈屋と木戸集落は、小野田市街の南にある竜王山によって出来た小さな岬の北西斜面に形成された集落で、漁村らしく緩斜面を選んで家が密集している。平らな宅地を造るために石垣が積まれ、斜面方向の縦道、等高線方向の横道が網目状に絡んで各宅地へアクセスしている。
刈屋集落は緩斜面の奥行き方向に広がりのある集落で、宅地がなくなるとその上は段々畑につながるという瀬戸内らしい漁村集落の構成だ。斜面の角度はさほど急ではないので密集度は中程度、したがって横道は宅地から独立して敷かれている。(斜面の角度が急になるほど高さ方向の家々の間隔は狭くなり、横道は家々の前庭が連続したプライベートとパブリックの中間領域となる。)
集落を歩いてみると、石垣や煉瓦(白煉瓦・赤煉瓦)の庸壁や塀が集落全体を通して展開しており、集落を構成する重要な共通要素となっている。
港の防波堤から刈屋集落を見上げる。
等高線に沿った横道。海岸の波に洗われた角の丸い石を積み上げた石垣によって、平らな宅地が形成されている。
斜度が比較的緩やかなため横道が宅地から独立して確保されている。斜度が急になるとこの横道は独立して取れなくなり各宅地の前庭が使われる。(たとえば三重県古江集落

煉瓦の塀をめぐらす屋敷も多い。このあたりは白煉瓦が多い。(左上、左)

高い石垣を積み上げてその中を物置利用している家。(上、左上)

港へ下る縦道。(左)
石垣と白煉瓦塀に囲まれた路地。(左、下)
港の向こうには小野田港沿岸の工場地帯を臨む。(左)

石垣をなめるように登っていく縦道。(下)
参考資料 リンク
山陽小野田市

参考文献
『図説 日本の町並み9 山陰編』 太田博太郎他 第一法規
『日本の町並みU 中国四国九州・沖縄』 西村幸夫監修 平凡社