金山 新旧が調和し心地よい修景整備が図られた町並み

山形県
金山町
金山



交通

JR奥羽本線新庄駅よりバス利用





金山




2005.05.22
金山は山形県の秋田県境に程近く、最上川支流の金山川に沿う町である。「金山」は「かねやま」と読み、近くの谷口銀山があったことからこの名が付いたと言う。鉱山が多い地域らしい地名だ。近世は羽州街道の宿場町であり、周辺は杉の美林地帯で製材業で栄えた。
町並みはL字状になっており、七日町筋、十日町筋に明治から大正期に建てられた切妻妻入の町家と土蔵が並ぶ。かなり製材業で潤ったのであろうか、蔵の大きさは立派なもので主屋のスケールに迫っており、町並みを個性的なものにしている重要な要素となっている。この地域の町家の形態は秋田県南部にも共通していて、棟木が大きく飛び出し妻面に木組みを表したものである(秋田県南部の化粧母屋は見られない)。そこで、この三角屋根のリズムが心地よい町並みをよく眺めてみると、実は古い建物ばかりではないことに気づく。新しい町家も古いものと調和するように造られているのだが、古いのか新しいのかわからないほどわざとらしくあわせているのではなく好感が持てる。大堰と呼ばれる水辺空間などのランドスケープデザインも同様、さりげなく新旧が折り合っており、結果として大変高度な次元でまとまっている町並みだと感じ入った。
棟木を飛び出させ妻面の木組みを見せ、2階以下を妻面より出すのが山形県北部から秋田県南部にかけて共通する町家の形態。この町のアクセントは、その主屋の隣に負けじと大きく構える蔵である。
妻面の木組みは様々。
通りの焦点に個性的な山。自然と人工の織り成す美しい町並み景観である。

右手は昭14年に建てられた郵便局。保存修復され休憩所として公開されている。(上、左上)

万宝院に突き当たる七日町通り。側溝に水が流れ大きな蔵に挟まれた空間(左)
万宝院脇の曲線状の通り。

町並みの裏手を流れる大堰の遊歩道。
大堰脇にあった洋風の住宅。

道の側溝には激しく水が流れている。堰き止め機構が着いている。(上)
置き屋根が跳ね上がるような形態の蔵が多く見られた。
七日町通りの町並み。
切妻妻入の家々のリズムが心地よい。古い町家と新しい町家の共演である。
開口部を飾った蔵。
参考資料 リンク
金山町

参考文献
『日本の町並みV 関東・甲信越・北陸・北海道』 西村幸夫監修 平凡社