渋谷
百軒店
震災復興で下町の有名店が移転した百貨店の街

東京都
渋谷区
道玄坂2





交通
JR山手線渋谷駅下車徒歩






百軒店街




2007.11.18
大正12年9月1日、東京を関東大震災が襲った。渋谷区の被害はさほど大きくはなかったようだが、都心部は甚大なダメージを受けていた。震災復興に際し、コクドの前身である箱根土地は、購入した中川伯爵邸を分譲し、百貨店を都市空間に再現しようとして計画した。それが百軒店である。渋谷道玄坂を上って行った右側の丘の上に、日の字型に町を割り、被災した下町の有名店を誘致するとともに、千代田稲荷を商売繁盛の神としてその中心に据えた。また、聚楽座という劇場も建てられ、近代的な商業空間が成立した。
現在の百軒店の町は、周りをラブホテルや風俗店に囲まれていて近寄りがたい雰囲気がある。しかし、町に入ると明らかにある時期に意図されて町が造られた街区構成となっており、マンションやビルが並んでいる。その中に不思議な洋風近代建築がある。名曲喫茶ライオンは昭和元年に初代店長山寺弥之助が自ら外装内装を手がけた建物で、東京大空襲により全焼したが戦後同じ意匠で復活した。このライオン付近に往時をしのばせる町並みが見られる。
渋谷駅の銀座線高架。銀座線は東京の地下鉄の中で一番古く、橋のデザインもレトロである。現在明治通りの下に東急東横線渋谷駅の地下化工事が行われている。(上)

渋谷はその名のごとく、周りを丘に囲まれた古川沿いの谷底の街。したがって渋谷駅を中心に放射状に町が伸びる複雑な都市空間である。東急本店と東急Bunkamura(左)の前の丘が道玄坂のラブホテル街(下)。ラブホテル街を抜けると百軒店となる。

Bunkamura前の交差点から道玄坂上交差点に向かう通りは飲食店街。その飲食店街の中に「しぶや百軒店」の看板ゲートがある。(左上)

百軒店は「日の字」型に町割りがされている。その一番北側の通りに洋風のレトロな建物が並ぶ往時を偲ばせる町並みがある。(左)
その通りに面する建物。

昭和元年から営業している名曲喫茶ライオン。建物は東京大空襲(昭和20年)に全焼し、終戦後当初の意匠で再建されたもの。北側の通りと南側の路地の2方向からアクセスできるが、双方で建物のデザインが異なる。

昭和レトロを感じる店舗建築が他にも見られる。(上)
突き当たりは千代田稲荷(左上)
建て替えが進んだ百軒店の建物。
(左上、左)
参考資料 リンク
渋谷区

参考文献
名曲喫茶ライオン