大谷 大谷石の採掘場と石の近代建築がみられる町

栃木県
宇都宮市
大谷町



交通

JR宇都宮駅からバス





大谷

宇都宮の北西郊外にある大谷は有名な石の産地。大谷石の産地は大谷町を中心産地として、東西約4km南北に約6kmにわたって分布しており、大谷町で産出するところから通称大谷石といわれている。地質岩石学上の名称は「流紋岩質溶結凝灰岩」という凝灰岩である。 国内でも各地にいろいろな凝灰岩が採掘利用されているが、古くから大規模に採掘が続けられてきたところは大谷だけで世界的にもあまり例がないという。一部では露天掘りも行われているが大部分は地下採掘で、地下数10メートルから深いところでは100メートル以上もある坑底での坑内掘りである。 その埋蔵量は約6億トンと推定されており、昭和40年代の最盛期には、採掘事業場は約120ヶ所、年間出荷量も約89万トンまで増加した。その後は年々減少し、平成15年度の採掘事業場は約15ヶ所、年間出荷量は約3万4千5百トンまで減少している。
北関東から東北にかけてしばしば凝灰岩を用いた石蔵を見かけるが、宇都宮周辺に来るとその割合はグッと高まる。大谷は大谷石の供給地として、石材業を営む家をはじめとする民家や公共施設にいたるまで大谷石づくしである。大谷から宇都宮へ鉄道が敷かれて急速に発展したので、建物は近代のものが多く随所に洋風意匠が見られる。特に、大谷石を全国に知らしめたのが建築家フランクロイド・ライトで、旧帝国ホテルをはじめ大谷石の流行を築いた。そのライト建築の影響を受けた建物も大谷には残っている。
大谷石資料館の採掘場。内部の気温が低く一定であることから、天然冷蔵庫として食物の貯蔵に使われていたが、現在は公開しており現代アートなどの展示やイベントが行われている。

宇都宮から大谷街道を来ると大谷の町の入口で二股に分かれる交差点がある。そこに面して屋敷を構える「屏風岩石材」。
中央に門を置いて左右に石蔵が建ち上がるが、左は寄棟、右は切妻で、手の込んだ装飾が施されている。内部は居住スペース。設計は初代店主が行ったという。
大谷街道の石材会社。
大谷街道の石材会社。

旅館盤石館。岩にのめり込んで建っている。古い石切り場の穴を使用して駐車場としている(左)
岩の天ぺんにも岩にのめりこんだ旅館の廃墟が建っていた。(上)

旧大谷公会堂(大正末期)(登録文化財)
大正12年に東京日比谷に建てられたFライト設計の「帝国ホテル」の影響によるところが多い。

大谷の街中に見られる大谷石造の建物

大谷周辺の農地にはあつて採掘され刻まれた岩山がたくさんある。何年か前古い採掘場が陥没して畑に大きな穴があいたことがあった。農地の下はすべて抗道。(左上)

農家にも大谷石。大谷石壁の茅葺屋根(左)、アーチ窓つきの民家(上)。

宇都宮にも大谷石の建物が見られる。

宇都宮カトリック教会(昭和7年)(上、左下)

宇都宮聖公教会(昭和8円)(左上)
参考資料 リンク
宇都宮市
大谷石資料館

参考文献
『総覧 日本の建築 関東』 日本建築学会編 新建築社