沼津 新たな発想で整備された防火建築帯の町並み

静岡県
沼津市
大手町
町方町
本町
下本町
ほか





交通
JR東海道線沼津駅下車





沼津





2016.12.03


戦国時代、北条早雲が築いたといわれる三枚橋城の城下町であり、江戸時代は東海道宿場町。市街地は、狩野川河港を中心に発達した。繁華街は、かつての城址を再開発した沼津駅周辺から旧東海道沼津宿(本町、下本町)までのエリアに形成されている。
太平洋戦争時に空襲を受け中心市街地のほとんどを焼失しており、戦後復興の町並みが見られる。駅前銀座のアーケード街もさることながら、戦後復興期の昭和28年に整備された町方町のアーケード名店街が興味深い。計画道路に指定されていて幅員を広げなければならなかったところ、一軒の戦災を免れた百貨店があり、その建物を残して一階をくり抜く形で歩道上空地を整備する手法が認められ、異例の都市計画道路指定解除によって実現したという商店街。防火建築帯のルールとして、建物を防火構造にすること、1階をアーケード状にすること、高さなど形態規制がなされている。建物は共同建築が多く、当初は増築対応した2階建てであり、昭和30年代に3階が増築された。当時の写真を見ると、横長のモダニズム系のデザインが秀逸であるが、現在は縦割り状に外装変更されている箇所がある。
一方、旧沼津宿にあたる本町・下本町は、道路拡幅された後に形成された町並み。裏町は飲食店街である。また、かつて遊郭があったとの情報のあった末広町界隈に名残は感じられなかった。
(1952年に制定された耐火建築促進法により、都市の不燃化への取り組みとして「防火建築帯」という店舗兼住宅形式の不燃共同建築が地方都市の中心市街地に形成されたことが知られているおり、その初期事例である。)
戦災都市概況図:沼津

沼津駅周辺の商店街
アーケード化による復興商店街
沼津アーケード名店街
駅方向からの入り口。ここで拡幅された都市計画道路は元の幅員に戻り、歩道が敷地内に整備されている。
沼津アーケード名店街
1階はピロティ(柱有)、3階建てがベースの町並み
沼津アーケード名店街
沼津アーケード名店街
途中の交差点部分。角切部に対応した角R形状がいい。
沼津アーケード名店街
当初の2階建てが残っている敷地もあった(上)
先端に柱がなく完全にキャンチレバー(片持ち梁)になっている共同建築もあった。(左、下)

沼津アーケード名店街からの路地(上)
木造建築部分もある。

旧東海道沼津宿にあたる本町・下本町の町並み(左上、左下)
戦前の建物らしきもあった(曳家?)
 
裏町の意飲食店街 

裏町の意飲食店街
伊豆石でできた蔵が見られた(左下)
末広町
かつてこの辺りに遊郭があったそうであるが、まったく名残は無い。
参考資料 リンク
沼津市

参考文献
国立国会図書館デジタルアーカイブ 全国主要都市戦災概況図
沼津アーケード名店街