西浦古宇 駿河湾越しに富士山を望む伊豆石の町並み

静岡県
沼津市
西浦古宇




交通






西浦古宇





2007.05.26
沼津市西浦古宇は、伊豆半島の左肩に位置し、駿河湾越しに沼津市街、富士山を望む漁村集落である。沼津から駿河湾に沿って海岸線を舐めるように走る県道は、古宇地区で大瀬崎を廻って戸田村に至る海岸線ルートと真城峠(492m)経由の山越えルートに分かれる。集落は海岸繊に沿うのではなく、古宇川の西側を真城峠へ向かう旧道に沿って形成されている。特徴は伊豆石を使った民家が多く見られるところである。伊豆半島はやわらかく加工が容易な安山岩が採れる地域で、東京の近代建築にも多く使用されている。当然、ご当地でも使われており、母屋の側面や蔵の壁に見られる。古宇で見られた石種は見ての判定だが、通称「伊豆まだら石」と「伊豆青石」と呼ばれるものであった。
海岸線に面して立つ商店。四方出桁の寄棟屋根。(左)


海岸線に面してあった大きな屋敷。(左下)

真城峠へ向かう旧道沿いに入ったところに石壁を連ねた町並みが見られる。(左上)

1階と2階で石の種類、仕上げ、窓の形状を変えている民家。(左)

火の見櫓(上)
石壁が向かい合う。
この民家の壁に用いられている石は「伊豆青石」と思われる。伊豆青石は東京丸の内に明治27年に建設された三菱一号館の床材にも用いられていた。滑らないため古い住宅のお風呂場の床などにも使われたりしている。
左の石倉は「伊豆まだら石」。この石も東京の近代建築や住宅地の石垣や塀などに用いられている。東京では明治後期から伊豆石以外の石も用いられるようになる。稲田石(茨城県)大谷石(栃木県)などが有名。
伊豆の民家の特徴で忘れてはならないのが海鼠壁。(左)
1階を伊豆石で仕上げ2階に海鼠壁をあしらう様式が伊豆では多く見られる。その組み合わせはとても美しい。(上)

「伊豆まだら石」はその名の通り「まだら」である。石目やノミの向きをそろえると美しい表情になる。(左)
参考資料 リンク
沼津市

参考文献