栃本 奥秩父荒川上流 急斜面上の広がる天界の村

埼玉県
秩父市
(旧大滝村)
栃本



交通







栃本





2006.05.14
2007.11.24
西日本の太平洋側に分布する「天界の村」こと、山の中腹に立地する山岳集落の東の端が関東山地である。中でも埼玉県奥秩父地方は山が高く谷は深く、天界の村を成立させる要件が整っている。旧大滝村は荒川の最上流域に山村で、谷間には斜面上の集落が点在している。特に、二瀬ダムによる三峰湖を過ぎると天界度(=集落の標高)が高くなる。
栃本は奥秩父最奥の集落で、江戸時代は武州から甲州へつながる雁坂峠への道、信州へつながる十文字峠への道の分岐点でもあり、山越えの要所として関所や宿もあった。栃本の関所は幕末に建てられた家屋が残っており保存されている。関所前からは雁坂峠からの道がよく眺められ、取締りにふさわしい場所が選ばれたものと思われる。
栃本集落は南面した広大な斜面上に屋敷と畑が点在する形態で、一番上部を旧街道が通っている。集落は旧街道沿いから荒川に向かって下っており、下に行くと空き家が目立つ。畑は河原の丸石を積み上げたもので、地形のうねりに合わせてきれいな造形を描いている。民家は養蚕が盛んであった地域らしく、切妻平入の総2階建である。
斜面の上部に旧街道が通いそこに主だった民家が集まっていて、下へ畑が広がっているのが栃本集落の特徴。

畔道は立体的にめぐる遊歩道のようだ。(左)

ある家の戸袋に鏝絵あり(上)
栃本集落全景(2006年5月撮影)
新緑が美しい
(上)

栃本関所(左)
秩父往還の旧道(国道140号)
栃本集落の西で雁坂峠と十文字峠への道が分岐している。
栃本集落の民家
栃本集落の民家
かつては旅館だったような造りの家だ。
斜面上に建つ民家

栃本集落

民宿甲武信
囲炉裏の宿で2階の蚕室は客室に改造されていた。(左)
山岳集落は全国的に同じような平面形態となる。つまり敷地が細長くなるので、内部の部屋は横一列に並ぶ。谷側は全面窓だが山側は全面壁となり、収納や仏壇になる。
参考資料 リンク
秩父市

参考文献
『日本の集落 第1巻』 高須賀晋・畑亮夫 建築資料研究社