三日市 旧高野街道 紀見峠越えで賑わった旧宿場町

大阪府
河内長野市
三日市町




交通

南海高野線三日市町駅下車






三日市町
 816年に弘法大師が開山し、真言宗の総本山金剛峰寺が建立された高野山。平安の都から高野山へ向う街道は古くから整備されていた。中世以降は淀川を下って泉州境から高野山を目指す街道も栄えるなどして、高野街道は東高野、中高野、西高野の3街道となった。いずれの街道も河内長野でひとつとなり、かつらぎ山系の紀見峠を越えなければならない。その河内長野からいよいよ峠越えをしようとする手前に三日市宿がある。旧街道に沿った町は、徒歩時代に大いに栄えたらしく立派な旅籠が軒を連ねていたのであろう、新しい街道は長い距離に渡って迂回している。したがって古い町並みのある旧街道は道路整備がなされず残された。
 南海高野線の三日市町駅は旧高野街道に接しており、駅から河内長野方面に町並みが残っている。自然の地形に従った旧街道らしく、町並みは右左、上下と変化するシークエンシャルな景観を見せてくれる。前面道路が曲がりくねっていること、敷地の奥行きが様々なことから一軒一軒の家々の配置は一定ではない。町家の殆どは平入の二階あるいは中二階建てで、2階部分が黒漆喰で塗り込められている。基礎には石垣が積まれ、生垣や庭木の緑も加わって視覚的に綺麗な町並みである。しかし、旧宿場町だが旅籠を営んでいたような家は見られないのは不思議である。
 現在、三日市町駅前は再開発工事が進められており、おそらく大きな商業施設とマンションが建つであろう。現在の町並みにどのような間接的影響を与えるのか。これからの現象が歴史的ストックを壊さないよう祈るのみである。
三日市町駅から河内長野方面に歩き出すとすぐに古い町並みが始まる。
この郵便局を営んでいたお宅。最近屋根を葺き替えたそうな。
旧街道は河内長野方面に向って下っていく。
ぶら下がっている提灯は「だんじり祭り」のもの。10月はじめ、この辺りの町や村はみんなだんじり祭りの準備がなされていた。

左右上下に変化する町並みはとてもシークエンシャルである。(左)

漆喰の白と黒のコントラストが美しい。(上)
地形の関係で敷地の奥行きはまちまちのようだ。

戦前か?下見板張りの駐在所があった。(上)
参考資料 リンク
河内長野市

参考文献
『図説 日本の町並み8 山陽編』 太田博太郎他 第一法規
『日本の町並みT 近畿・東海・北陸』 西村幸夫監修 平凡社