出谷 十津川郷 上湯川谷に面する湾曲する急斜面集落

奈良県
十津川村
出谷
七色




交通







出谷



七色





1994.
十津川村は奈良県の五分の一(奈良盆地の二倍)を占める日本一大きな村で、村そのものが全て紀伊山地という山岳の重なり合う隔絶性の強い山村である。紀伊山地は、わが国の西南日本を中部地方より九州地方にかけて縦走する大断層である中央構造線の南側にあたる西南日本外帯山地の一部に属している壮年期の山地で、十津川村の集落は村内のほぼ中央を流れる十津川とその支流によって深く刻まれた谷の日当たりの良い南向き斜面に形成された「天界の村」である。産業は林業と農業で、かつては焼畑も行われていた。
十津川本流の谷は南北に、支流は東西にいくつもの谷を刻んでいる。上湯川は支流のうち最も南側で、奈良県と和歌山県の国境にあたる果無山脈に沿って西へ延びている谷である。出谷集落は、上湯川谷に面する南斜面の中腹に位置する小さな集落である。立地している斜面はかなり急で、主屋や付属屋といった家屋の配置がタイトになり、等高線に沿って湾曲しながら一列に並ぶ。
出谷殿井集落を下から見上げる。斜度が急なため敷地に余裕がない。主屋や付属屋は一列に並ぶが、敷地がタイトなため等高線の線形に沿って湾曲している。
天界の村では前庭が少ないので、収穫した稲を架ける装置が共通して見られる。
十津川では、ハデバと呼ばれる。梯子状のものを幅広くして、間にも数本の支柱を入れて穴を開け、これに何本ものハデザオを通した常設の稲架で、上には狭いカワ葺の屋根がのっている。
家屋の配置は主屋、付属屋が等高線に沿って一列に並ぶ。等高線が湾曲していれば家屋の並びも湾曲する。
出谷の集落
田圃は少ないが当然ながら棚田状になる。
十津川村最南端の集落、七色。隣の切畑地区土河屋集落は和歌山県となる。(左)

上湯川谷の空中写真。上湯川は東西に流れているので、谷に面する斜面は南斜面北斜面となる。集落が形成されているのは南斜面である。集落間を結ぶ本来の道は尾根伝いであり、谷底の道路は車社会になってから整備されたもの。(下)
参考資料 リンク
十津川村

参考文献