富津 島原半島西海岸の斜面に密集する石垣の集落

長崎県
小浜町
富津





交通






富津





2005.07.25
雲仙火山体が生み出した島原半島の西海岸には有名な小浜温泉があるが、その北5kmのところに小さな岬が出っ張っており、斜面に民家が密集している富津集落がある。斜面の地形は、集落の中間に尾根が突き出し集落は大きく2つの谷に形成されている。構成は定石どおりで、谷道の主軸が谷の奥深くへ延びていて、そこから枝道が入り組んで巡っているかたちだ。しかし、富津の特筆すべき点は、一つ一つの屋敷地がきちっとした石垣で築き上げられているところにある。立体的な古い集落に石垣があるのは当たり前だが、正確に反り面を造りながら積み上げられた石垣は正確なもので、コンクリートに変わっている場所が少ない。
この見事な石垣築造の技術は住人自身に蓄積されているそうで、本業である漁業や農業の傍ら、石工の出稼ぎを副業としているという。
港から集落を見る。この手の密集型漁村として、地形の斜度はさほどきついほうではない。
港から向って左手の谷道を上る。
一軒一軒の敷地は比較的きちっと区画されているほうである。
枝道の迷路を巡る楽しみが密集型漁村を歩く魅力である。
別の谷道を下る。川に沿っていてどうやらここはメインストリートの一つのようだ。(左、下)
尾根から一気に谷に下る道。(左)

港から向って右側の集落の谷を上るメインストリート。石垣のしっかり感が分かる。(下)

谷道を上っていくと神社があった。元々は集落の最上位だったのであろうが、この上にも集落は伸びている。(上、左上)

海岸沿いの門を持つ屋敷。谷道の主軸を下ると大抵このような旧家が建っている場合が多い。(左)
参考資料 リンク
小浜町

参考文献
『図説 日本の町並み11 北九州編』 太田博太郎他 第一法規