戸倉
上山田
明治期に千曲川に開発された温泉地と旧宿場町

長野県
千曲市
戸倉
上山田温泉1,2



交通
しなの鉄道戸倉駅下車徒歩





戸倉


上山田




2009.08.23
戸倉上山田温泉は明治26年(1893年)に開湯された温泉である。現在の温泉街は千曲川を挟んで広がっているが、源泉が千曲川の河原に湧き出したことから初めは河原に浴場が建てられその周辺に旅館や料理屋が建ち並び湯治場が形成された。しかし、千曲川の本流と分流の間の中洲に開かれていたため、何度も洪水に悩まされ、そのたびに場所が移転された。大正5年(1915年)、八王子山の岩石を運んで敷地を高くし復興された後は洪水に流されることもなく、現在の街につながっている。
しなの鉄道(旧JR信越本線)戸倉駅は、千曲川の東岸にある。駅近くには旧北国街道が通っていて、旧戸倉宿から発展した街道町がある。街道沿いには戦前の建物が僅かに見られ、大きな茅葺寄棟屋根の造り酒屋が残っている。この造り酒屋こそ豪商坂井家であり、温泉開発を行った坂井量之助の家系である。
温泉街は旧宿場町から離れた千曲川のそばにある。街としては川の西岸が大きく、歓楽街もそこに形成されていた。「新世界通り」「思い出の町通り」「ほろよい銀座」など、それらしい名前の通りが何本も入り組んでいて歓楽街らしい空間となっている。明らかに戦前とわかる建物は少ないが、昭和の濃い匂いのする遊里である。一方、旅館は川沿いに団体客も受け入れるような鉄筋コンクリート造の大型旅館が並んでおり、ひなびた温泉街の趣は乏しい。
千曲川西岸の温泉街。川沿いや表通りに旅館が建ち並んでいて、その裏手は歓楽街になっている。
「思い出の町通り」の入口 
歓楽街の町並み

歓楽街の町並み

歓楽街の町並み

戦前か戦後カフェー調の造りなのか。(左)
モダンなデザインの商店
店舗や旅館もなく寂れた通り
戸倉駅近くの旧北国街道沿いの宿場町から発展した町並み

大きな茅葺屋根は造り酒屋で、温泉開発も行った豪商坂井家(上)。

旧北国街道の町並み(左上、左下)
参考資料 リンク
千曲市

参考文献