野尻 「七曲がり」呼ばれた くねくね坂道の町並み

長野県
大桑村
野尻




交通

JR中央線
野尻駅下車



国道19号線




野尻




2004.05.01
(1980年頃)

中山道の江戸から数えて40番目の宿場。野尻宿は「七曲がり」と呼ばれ、右に左に実にたくさん曲がりくねっている。外敵を防ぐのが理由とされているが、隣の須原宿が道幅が広い一直線なだけに対照的で面白い。
江戸方からやってくると枡形があって「東のはずれ」から町並みが始まり、上町、中町(本町)、横町(横宿)、「西のはずれ」まで続く。
町の中心であった中町あたりは明治27年に大火があったが、町の骨格は変わっていない。古い町並みといえば京方の横町に見るべきものがある。
中央線野尻駅には玄関を洋館風にしている旅館があり、その脇を巻いてやや上ると通りに出る。戸袋に「庭田屋」と漆喰で書かれた旅館が出迎えてくれる。この辺りは駅前ということで旅館が並んでいる場所。そこから京方の横町に古い町並みが展開する。町家は殆どが平行して建っておらず、通りに沿った視線の先は常に塞がれている。曲がっている上に坂道でもあるので、町並みとして奥行きを出しており、なかなか面白い。町家は殆どが切妻平入で、出桁造りの2階屋が多く、2階部分が欄干付のバルコニーになっているものもある。
ここが「西のはずれ」。この家の屋号は「はずれ」という。
木曽谷には珍しい非切妻屋根。年代の新しい旅館と思われる。軒には出桁の木組みを見せている。
2階部分を張り出し、欄干付のバルコニーにしている出桁造りの2階家。
出桁造りの町家が、屋根の軒線と張り出した2階のラインを揃えた町並み。しかも、わずかに弧を描いているのがすばらしい。テーマパークでの擬似町並みを設計する際のヒントが、この野尻には詰まっている。
2階が張り出した部分は、2階床を支える桁と開口部下端の腰長押、その間に細い腰壁という形態になる。腰壁は素地の板であったり漆喰塗りにしてデザインを加えたものもある。また、写真のように、この構成を2段にして張り出しを強調している町家も多い。

野尻駅近くの旅館街
参考資料 リンク
大桑村

参考文献
『図説 日本の町並み5 中部編』 太田博太郎他 第一法規
『民家巡礼 西日本編』 溝口歌子・小林昌人 相模書房