馬篭 馬篭峠から下る尾根上に形成された坂道の宿場町

長野県
山口村
馬篭




交通

JR中央線
中津川駅下車
バス


国道19号線
県道7号線




馬篭







2004.05.01
峠集落の町並み

中山道69宿の中での険路といえば紛れも無く木曽11宿である。江戸方の本山宿を後に木曽谷に入ると、贄川、奈良井、薮原、宮ノ越、福島、上松、須原、野尻、三留野、妻籠、馬篭の11宿を数え、十曲峠を経て美濃路の落合宿へ抜ける。馬篭は木曽路の西の出入口である。
馬篭峠を越えてきた中山道は、一気に中津川盆地へと下っていく。その尾根筋の急斜面に一直線に形成されたのが馬篭宿である。宿場の中ほどに本陣・脇本陣や問屋が置かれ、旅籠18軒や飯屋、馬宿などがあった。明治25年に木曽川沿いに中央線が開通し、馬篭は宿場としての使命を終えた。
馬篭峠下で栄えた宿場であり、鉄道や国道が迂回したことによって町並みが残る条件はそろっている。しかし、街道の線形や流れる用水などは面影を残しているものの家屋としては古いものが見当たらない。その訳は、明治28年と大正4年の度重なる大火によって江戸時代の遺構の殆どを消失してしまったからである。
桝形の町並み
馬篭宿を下から(西から)上ってくと最初に桝形がある。桝形は城下町や宿場町などに見られ、道を直角に折ることで軍事上の防御機能を持つ。馬篭の桝形はいったん直線に改修されていたが、昭和60年に復原された。
馬篭宿の町並み
清水屋資料館辺りの町並みが見所。
清水屋は島崎藤村の作品である「嵐」に出てくる「森さん」の家。
馬篭宿の町並み
石畳と流れる水と緑、背景となる中津川盆地の遠景が馬篭宿の特徴。
藤村記念館
馬篭は島崎藤村の生誕地として有名。この記念館はかつての本陣跡で、藤村の生家でもある。
ここで生まれた藤村は、自分の父を描いた「夜明け前」をはじめ、「生い立ちの記」「家」「ふるさと」など、多くの作品に馬篭を登場させている。
石畳の街道脇には常に水の流れがある。
生活用水として今でも利用されている。
峠集落の町並み
馬篭宿から馬篭峠を目指して上っていくと、峠の手前に「峠」という名の集落がある。馬篭宿は大火などによって建物としての町並みは薄いが、この峠集落の町並みにかつての馬篭宿の佇まいを重ねて見ることもできる。
峠集落の町並み
素朴な出桁造りの切妻平入の民家が並んでいる。
馬篭峠
峠を下ると大妻籠集落を経て妻籠宿へ至る。
参考資料 リンク
山口村

参考文献
『図説 日本の町並み5 中部編』 太田博太郎他 第一法規
『民家巡礼 西日本編』 溝口歌子・小林昌人 相模書房