上松 度重なる大火の教訓が生んだ重厚な蔵造り

長野県
上松町
上町、本町




交通

JR中央線
上松駅下車



国道19号線




上松




2004.05.01
中山道の江戸から数えて38番目の宿場。上松は尾張藩の木曾材木役所が置かれ、木曾林政の中心地であった。現在でも木材の集積地である。現国道19号線はバイパス化し山側を迂回しているが、市街では旧街道を拡幅した経緯があり県道(旧国道)沿いには古い町並みは残っていない。
江戸方から十王橋を渡ると上松宿である。橋から200M程度の範囲は県道が旧道から外れており旧宿場町の風情が感じられるが、中でも橋に近い100Mほどの範囲に古い町並みが残っている。上松では度重なる大火があったが、この範囲だけは焼け残った。木曽谷らしい出桁造り2階家の町並みが見られる。
上松の町並みは、どちらかというと大火後に建てられた町並みの方が興味深い。それは、強く防火を意識した土蔵造りである。信州は松本や須坂など蔵造りの町並みは見られるが木曽谷には珍しい。写真をごらんいただきたいが、主屋というより殆ど倉庫蔵のような不思議な造りの町家もある。木材で栄えた町は、木材を極力外部に現さない重厚な土蔵造りに行きついた。
十王橋を渡ったわずか100Mが戦前までの古い町並み。大火と国道拡幅の両方から免れた。
旧宿場町の町並み
木曽谷らしい出桁造2階家の町家が並ぶ。
蔵造りの町並み
十王橋から100Mを過ぎると町並みは一変する。度重なる大火の教訓が重厚な蔵造りを生んだ。関東の蔵造りと比較しても開口率の低さはいい勝負。軒下が漆喰で固められていないせいか、なんか不思議な印象の造りである。
蔵造りの町並み
この家もなんだか不思議。新しいようにも見えたがよく見ると古い蔵を改修しているようにも思える。
蔵造りの町並み

寝覚めの床(上)
上松宿よりやや下流にある景勝地。中央線の車窓からも見ることができる。

寝覚集落(左)
旧中山道の立場集落。宿場町ではないが、街道から名勝地である寝覚ノ床へ下る交差点に2つの旅籠が残っている。
(七ちょめさん(大阪府)撮影)
参考資料 リンク
上松町

参考文献
『図説 日本の町並み5 中部編』 太田博太郎他 第一法規
『民家巡礼 西日本編』 溝口歌子・小林昌人 相模書房