江島 斜面に築かれた石垣と迷路状階段路地の集落

宮城県
女川町
江島江島





交通
女川港より定期船






江島





2016.08.18


女川港から航路距離13.8km、女川町の南東部にある島で、江島を含む8つの島からなる江島列島を形づくり、断崖に囲まれた島々は、特に景観が美しいことで知られている。昔は、断崖の切れ目に桟橋を設け船着場としていたが、今では長さ278mの埠頭が整備され、女川港との間に毎日定期便が運航している。(「シマダス」参考)
漁村としてはちょっと不思議な集落景観である。港に近い低い位置から斜面を駆け上がって密集するのが漁村の一つの典型であるが、この集落は低い位置に家がなく、かといって密集するでもなく、斜面上に家々が点在している。しかし歩いてみると理由がわかってくる。点在というのは、無住の家が取り壊されたためで、石垣で築かれた屋敷地は残っており、階段状の路地が迷路のように張り巡らされていて、かつては密集していた。2011.3.11の東日本大震災の本震の震源地に最も近い島であったし、壊れた家も多かったのであろう。ただ、造成された時期が古くはなく、擁壁が高く一軒一軒が大きいようだ。一方、低い位置にないのはなぜか。一つは2011.3.11の東日本大震災時の大津波で失われた部分もあるが、しかしもともと低い位置には家が少なかったと思われる。推測だが、約60年に一度やってくる大津波の経験から、基本的に斜面から丘の上にかけて集落が形成されていたのではないだろうか。
港から眺めた集落
港の周りには家がない(上)

女川港からの定期船は、出島を経由して一日3便が往復している(左)
 

階段路地と石垣の様子
家が取り壊された屋敷地が多い

家々が取り壊され、緑化したため緑の丘の集落のような様相である(左上)

石垣はあまり古いものではないため、高く築かれている(左中)

2011.3.11の記憶を伝える石碑
「2011.3.11ここは、東日本大震災津波到達点より高い」と刻まれている。
従前の集落もこの碑より高い位置に基本的に築かれていたように推測する。(上)
江島の民家
江島の石垣と階段路地

江島の階段路地 
江島の町並み
この海の向こうから大津波が押し寄せてきた時は本当に怖かったであろう(上)
参考資料 リンク
女川町

参考文献