古江 わが国最高の密集度と思われる熊野灘の漁村

三重県
尾鷲市
古江





交通








古江




2008.12.27
西日本を縦断する中央構造線の太平洋側は西南日本外帯山地とよばれ、その内の一つである紀伊山地はとても谷が深く険しい。その地形は、山中のみならず三重県南部熊野灘に面するリアス式海岸にも現れている。尾鷲市古江は、すべてが海に面する斜面上に形成された集落である。通常の漁村は海岸に近いわずかな平地に民家が建ちはじめ、やがて平地が無くなったのち斜面に駆け上がっていくものだが、古江の場合は最初から平地がない。集落ののっている斜面は一定の勾配であるため、家々は棟を等高線に平行に配置していくと等間隔に並ぶことになる。戦後開発された丘陵地の郊外住宅地のように、古江集落は規則正しい。したがって家々の間隔は詰まり結果的に高密度になったものと思われる。
集落の前面には港があり、背後の中央部集落の頂上には神社、下から見上げて左手の尾根上に墓地がある。港から斜面を上がっていく縦道は何本もあり、横道は各家の前庭となっている。おそらく前者はパブリックだが後者はプライベートであろう(パブリックの横道もところどころにある)。
この古江集落は集落町並み本にはまだ紹介されたことがなく、私が1995年に通りかかって見出した集落である。その後、密集漁村に興味を持って全国的に歩いているが、2008年に改めて訪れてみておそらく全国一の密集度を誇っているものと思う。
古江集落を港越しに眺める。尾鷲市は日本でもっとも降雨量の多い場所。この日もものすごい夕立に遭遇し、後で晴れて虹が見られた。(1995年)
尾根の上に広がっている墓地より集落をふ観する。(2008年 上)

港から頂上の神社に通じる縦道(1995年 左)

縦道に面する酒屋さん(1995年 左下)

プレイべーとの前庭を横切らせてもらうと向こう側の縦道に行ける(上)

パブリックの横道。上の敷地の地盤レベルが下の敷地の2階レベルであることがわかる。密集度が上がった秘訣(左)
(すべて1995年)

パブリックの横道あれこれ(上、左)
(2008年)

神社下から見下ろした景観(2008年 上)
神社の鳥居(2008年 左)
突き出した尾根の上に墓地が広がっている。すぐ下にお寺がある。(2008年)
参考資料 リンク
尾鷲市

参考文献