小田原 抹香町 |
花街 川崎長太郎小説に登場する小田原の新開地 | |
神奈川県 小田原市 浜町2 交通 JR東海道線、小田急線 小田原駅下車 車 抹香町 2005.05.03 2007.05.26 |
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小田原は応永年間(1394〜1428)に駿河の大森氏の築城が起源で、その後北条早雲がかわり、北条氏五代の城下町として発展した。江戸時代は大久保氏の城下町として、東海道の宿場としても発展し、駅と国道1号線の間は城の掘割を軸とした南北の町割、海岸近くは東街道を軸とした町割りになっている。旧市街は東海道近く、現在は小田原駅周辺が商業中心のため、結果的に焦点の定まらないだだっ広い町という印象を受ける。 小田原の遊郭は、2つあった。明治36年に芸者家や料理屋を新玉4丁目に移し集めた「初音新地」とその東側の新玉3丁目に開かれた新開地「抹香町」である。抹香町は戦後もカフェー街として残された。現在は住宅街の中に完全に埋もれている。 小田原駅を降り、抹香町という名称だけを頼りに浜松交差点を目指した。小田原には石の町名由来サインが立てられており、十王町・抹香町の案内サインがあった。しかし、近辺を縦横無尽に歩き回るが一向に見つからない。あきらめかけたとき、道と反対側の路地の先に「小料理」の看板を見つけた。住宅街の中に小料理屋とは「もしや」と思い向かった。暗渠化された渋取川の上の通りを歩いていくと、欄間やバルコニーがある住宅にしてはちょっと変わった建物があった。その脇から路地を入っていくと細かく整然と区画された町になっていた。そこが抹香町の旧カフェー街であった。 路地はひび割れたコンクリートで舗装され、屋根を隠し前面の外壁を立ち上げた建物や伝統的な旅館・料亭建築風の建物がひしめいている。中にはまだ飲食店を営んでいる家もあった。抹香町は、小田原に住んでいた作家:川崎長太郎の小説に登場し、昭和20年代後半にはちょっとしたブームになったカフェー街。小川のほとりの粋な街だった面影を、僅かながら感じられる戦後の町並みである。 |
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旧遊廓に大抵ある建物の一つ 質屋 | ||
手前の通りは渋取川が暗渠化されたもの。かつてはこの小川に町が面していた。比較的大きなこの家が目印。 | ||
なんてことのない建築だが、玄関周りのタイルや石貼り、窓の意匠が旧遊廓の証人である。 | ||
画像の家の脇を入ると、路地は細かな碁盤目状になっている。路地はコンクリート舗装され、旧旅館が建ち並んでいる。 | ||
板壁に囲まれた路地。遊郭の風情を感じる空間だ。(左上) スナックや小料理屋を営んでいる店もわずかながら残っていた。今や「住宅街の中になぜ?」と思われるほど不自然である。(左) |
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しゃれた構えの建物。いまでは住宅である。(下) | ||
参考資料 | リンク 小田原 参考文献 『赤線跡を歩く』 木村聡 自由国民社 |