手打 弓形の美しい海岸に沿って形成された麓集落

鹿児島県
下甑村
手打





交通





手打



2004.04.22
 甑島は鹿児島県串木野港から渡る東シナ海に浮かぶ列島である。三島のうち一番南にある下甑島のもっとも南にある手打集落は、弓なりの東シナ海の海岸線に沿って集落が形成されており、背後は田園である。手打は東シナ海の外海に面しており、防備上重要な位置であったため、麓集落の武家屋敷の跡地が集まっている。手打麓の特徴は、接客部分のオモテと居住部分のナカエが別棟になっており、その点が貴重である。
 湾は遠浅で船が着けないため、円弧の東端の砂洲状になっている浜地区の湾と反対側に手打港がある。そこにかつて「津口番所」があり、番所から円弧の真中あたりまでの約700mが武家屋敷跡(麓集落)である。円弧の残りの部分も集落はあり、円弧状の集落と背後の山との間は田園となっている。自然の作り上げた地形と人間の作り上げた町並みのハーモニーはすばらしいの一言である。遠浅の海岸には海亀が産卵に来るという神秘性もある。夜、海辺を散歩したが、波の音と満点の星空は一生忘れられない。
釣掛崎灯台へ上る道から手打湾と手打集落を見下ろす。集落は手前の山に隠れて約2/3が見えている。右端の砂洲状の部分が浜地区で、向こう側が手打港である。
武家屋敷は海岸線に並行した円弧状の通りに面して両側に一皮づつ並んでいた。通りの一端は港の番所、もう一端は八幡神社の参道である。(上)


武家屋敷の背後は青い海。(左)
武家屋敷跡の石垣は玉石垣が基本形である。
浜地区の商店。島の場合、どこが何の店かみんな知っているので、商いを示す目立つ看板やコマーシャルが無い。旅の者にとってはどこが店がわからないし入りづらい。
武家屋敷通りから離れた山際にも武家屋敷が見られる。写真は江口家で、映画「釣りバカ日誌9」で結婚式のシーンのロケに使われた。
円弧の西半部分(西地区)の海辺の集落。防風防砂のため、開口の無い壁が並ぶ。
西地区の民家と手打湾。
防水のためと瓦が吹き飛ばないようにするため、タールで塗り固めている屋根。すべてではないが、何軒かに見られた。
参考資料 リンク
薩摩川内市


参考文献
『日本の町並みU 中国四国九州・沖縄』 西村幸夫監修 平凡社