鹿児島 桜島を背景にした都市の非戦災地区と旧遊里

鹿児島県
鹿児島市
山之口町
名山町
突甲町




交通
JR九州新幹線鹿児島中央駅下車市電バス利用ほか





山之口町



名山町



突甲町



2009.12.21
鹿児島は、南九州の政治・経済・文化・交通の中心地であり、市街は島津藩の旧城下町を基盤としている。街は方や城山の緑、方や鹿児島湾に浮かぶ桜島を背景にしている。特に、鹿児島湾に浮かぶ桜島の風景は「東洋のナポリ」といわれ、鹿児島市はイタリアナポリ市と姉妹都市の関係にある。
中心繁華街天文館通りは、高級物販店とともに遊技場、映画館などの並ぶ盛り場的ショッピング街で、地名は安永8年(1779年)藩主島津重豪が長崎から暦の専門家を招き天文館を設置したことに由来している。また、金生町界隈は金融業務地区となっている。
鹿児島市街はそのほとんどが太平洋戦争時の空襲で焼かれてしまっているが、鹿児島駅に発着する市電の電車道(金生通り、大門口通り)より港側の一部が戦災を免れている。その一帯を実際に歩いてみたが、その後の開発も相まって残っているのは金融業務街に近い名山町界隈にみられる程度であった。また、不燃建築だった銀行店舗は残っており登録文化財として守られている。
一方、遊里は天文館通りの裏町にあたる山之口町界隈がスナック・飲食系の町であるほか、そこからずっと海へ向かった突甲町に遊郭があった。ここは、旧塩屋町といい明治半ばに新開地の整備に合わせて遊郭が設けられた。『全国遊郭案内』(昭和5年)によれば、「鹿児島常盤遊郭」と呼ばれており、「明治22年4月に初めて貸座敷業の許可を得たもので、市内春日町、浜町、向江町等に散在して営業を開始したのであったが、明治32年9月30日に、鹿児島停車場が設置されることになったので、現在の場所に移転して一廓をなしたものである」とある。貸座敷23軒、娼妓353人だったという。現在は場違いな旅館の存在とカフェー調建築がみられるほか、現役のソープランド店があることで過去を偲ぶことができる。

天文館本通りのアーケード街
天文館電停から北側(上)と南側(左)でデザインが異なる。

山之口町界隈のスナック・飲食店街
鹿児島県立博物館
昭和2年(1927年)竣工の旧県立図書館。国登録有形文化財。
旭通り交差点に建つ南日本銀行本店
昭和12年(1937年)竣工。国登録有形文化財。(上)

旭通り交差点から海方向をみるとドーンと桜島が見える。(左)
金生町の鹿児島銀行本店別館
大正7年(1918年)竣工。国登録有形文化財。

名山町の非戦災地区の町並み(左上、上)

堀江町の非戦災地区の町並み(左下)
突甲町(旧常盤遊郭)の町並み
戦後の赤時代のカフェー調建築(上、下)


突甲町(旧常盤遊郭)の町並み
旅館が多い(左上)

赤い建物はラブホテル(左下)
突甲町(旧常盤遊郭)の町並み
旅館が多い
鹿児島駅前の市電電停
参考資料 リンク
鹿児島市

参考文献
「赤線跡を歩く2」木村聡 自由国民社
「消えた赤線放浪記」木村聡 ミリオン出版
「花街」加藤政洋 朝日新聞社