悪石島 トカラ列島5番目 随所に神々の場所がある島

鹿児島県
十島村
悪石島





交通
鹿児島港よりフェリー






悪石島





2018.07.26

トカラ列島のほぼ中央、諏訪之瀬島の南約20kmにある島。その名の通り断崖絶壁に囲まれているが、別名「美女とネズミと神々の島」ともいわれる。仮面神ボゼに象徴されるだけでなく、島内各所に神がまつられるまさに神々の島だ。うっそうと茂った亜熱帯性の樹木群は、大切に保護され、「神山」として聖地の扱いをされる。港のそばの海中には温泉があり、少し林の中に踏み入ると天然の砂むし温泉もある。港には、夏場は特産物になっているトビウオの天日干しがいっぱいに広がるなど、のどかな海村の風景も垣間見せてくれる。八幡神社所蔵の須恵器片など、定住の始まりは古代まで遡り、陶器片には青磁を始め中国系や北九州、薩摩、琉球など各地のものがあって中世〜近世期の交易の広さがしのばれる。江戸時代は悪石島詰御在番衆として鹿児島侍が駐在した。古くは女神山の麓に東の村があったという。聖地のひとつオキンヤマには秋葉・金比羅・霧島の神とともに「島建世建の御大将」を祀る。この御大将は墓地入口にも石を建てて祀っており「奉無縁供養造立、貞享二年」(1685)と刻字してある。墓地は近年の改築以前は他に類を見ない見事な墓地で、年貢船下島時に購入した山川石の墓石群が立ち並び、しかも寛永18年(1641)の碑文始め元禄・宝永・享保・寛延など江戸前期から中期の年代がみえ、近世の活動を物語る記念碑でもあった。かつては養徳寺と大奥寺の2寺があったが、幕末には養徳寺1寺だった。那覇からの学童疎開船「対馬丸」が近海で撃沈され、その慰霊碑が建立されている。(「シマダス」参照)

悪石は海岸線に全く平地がない。だから、集落は海抜170mくらいの山の上にある。丘の上という生易しいものではない。


悪石島の玄関であるやすら浜港
港からすぐ近くの斜面上にある浜集落。住んでいる家が3~4軒確認できる。
下から入って行くとガジュマルのゲートがあり、そこをくぐると人家があった。(上)
上の段の民家。ゴロタ石の石垣だ。門の代わりに2本のポールが建っている。
丘の上の上集落。
道がいくつも分かれている集落の中心と思われる場所にある民家。民宿を営んでいる広い建物で、白いルーフィング屋根が折り重なっていて綺麗。(上)

瓦を白く塗装した家もあった。(左)
上集落の家並み。
悪石島の主産業は畜産で、島の各所に広大な牧場も見られるが、集落の中にも牛舎がいくつもある。
不思議な場所が出現。ガジュマルの森に抱かれるように建物がすっぽりおさまっている。悪石島の観光キャッチコピーは「神々の訪れる島」。随所に神聖であり不思議な場所がある。この建物の入口にしめ縄のようなものがあったから、ここも神聖なる神の場なのだろう。

上集落の石垣(左上、左)
板森神社(上)
鬱蒼とした鎮守の杜みたいな場所であるが、鳥居はない。樹木のトンネルを潜って入っていくと奥が広場のようになっている。ここは「テラ」と呼ばれる神域で、島の祭事が行われる場所。ボゼが作られる場所でもある。
擁壁や塀が何でできているか確認できないほど植物に覆われている。
参考資料 リンク
十島村

参考文献
「シマダス 日本の島ガイド」㈶日本離島センター