綾織 豪農の曲り家が残る集落

岩手県
遠野市
滝沢

千葉家住宅(重要文化財)

石垣を積み上げ、曲り家の一辺をはみ出すように建っている
遠野市は遠野盆地の一帯を占める都市で、昭和29年に遠野町と綾織、小友、松崎、土淵、附馬牛、青笹、上郷の7ヶ村が合併して遠野市となった。

第二次世界大戦までは馬の産地であったが、戦後は酪農、製材業で発展した。柳田国男「遠野物語」で知られる。

綾織は遠野市の西で、旧綾織村。遠野から盛岡へ通じる、旧釜石街道沿いの村はずれに城郭と思われるほど石垣を積み上げた曲り家「千葉家住宅」(国指定重要文化財)がある。

曲り家は土間の前面に馬屋が接続したもので、L字型の平面形になっている。曲り家は18世紀末以降から明治期にかけてもっとも
多く建てられたといわれている。その発生は、馬の飼育を大切にした造りであるとも、家格の表現とも言われている

千葉家は南部の曲り家の典型ではなく、豪農の住宅である。石垣の上を造成して宅地化し、破風を大きく見せた前面は石垣からせり出すように建てられている。まさに城郭のようで、岡山県吹屋の広兼家などと同様に、家格の象徴的な表現を意図している。
なぜ、このような豪邸は共通して村はずれ町外れに見られるのであろうか。

交通

JR釜石線綾織駅下車3km

国道396号線
滝沢



参考資料 リンク
遠野市観光協会
千葉家曲り家
 
参考文献
『図説 日本の町並み1 北海道・北東北編』 太田博太郎他 第一法規
『歴史の町並み 北海道・東北編』 保存修景計画研究会 NHKブックス
『日本の美術286 民家と町並 東北・北海道』 宮澤智士 至文堂
『民家巡礼 東日本編』 溝口歌子・小林昌人 相模書房