白峰 豪雪と養蚕で生まれた多層民家の見られる町並み

石川県
白山市
白峰
(旧白峰村)




交通




白峰

白山ろく民俗資料館





2012.07.14
 白峰は、霊峰白山の麓、手取川と大道川合流点の河岸段丘に発達した集落である。伝統的な養蚕農家の家屋は、切妻平入の三階建てで、二階以上は粗壁の大壁造りになっている。北陸地方有数の豪雪地帯であり、柱や梁、垂木は積雪荷重に耐えられるように太く、また二階三階は蚕室として使われていたため、おおむね一間おきに小さな窓が設けられている。
集落内には伝統様式の民家もそのまま残ってはいるが、多くは改修されてトタン屋根や板壁でおおわれている。原型は、近くの「白山ろく民俗資料館」の野外博物館に移築保存された3階建て養蚕農家や出造り小屋を見るとよい。白峰ではヒエ・アワ・ダイズ・ソバを栽培する焼畑農業が営まれ、山腹に出作り小屋があった。
 白山の東麓には岐阜県白川郷の合掌造りがあり、やはり豪雪と養蚕によって生まれた民家形態である。白山を挟んで東西で異なる形態の多層民家が見られるのは興味深い。なお、この白峰の養蚕農家は但馬地方(兵庫県)の養蚕農家に形態的な共通点が見られる。
白峰温泉周辺の町並み
白峰の町並み
白峰の町並み
石塀と門のある大屋敷
白峰の町並み
原型を残している3階建て養蚕民家
白峰の町並み
白峰の町並み
白峰の町並み
白峰の町にある「白山ろく民俗資料館」屋外展示場には6棟の古民家が移築保存されている。
杉原家(上、左)は、江戸時代に嶋村(白山市桑島)の村役人をつとめた旧家。酒造や養蚕を行い日用品を扱う商いもしていた。元治元年(1864年)に建てられた3階建て、屋根は栗小羽葺である。
長坂家(白山ろく民俗資料館)
白峰の上流河内の山中にあった出作り小屋で、明治5年(1872年)に建てられたもの。ここでも養蚕がおこなわれていた。
参考資料 リンク
白山市

参考文献
「日本の町並みT 近畿・東海・北陸」 西村幸夫監修 平凡社