生瀬 摂津・丹波に分布する妻入の町並み地帯の入り口

兵庫県
西宮市
塩瀬町
生瀬




交通

JR福知山線生瀬駅下車






生瀬
 六甲山の北東、大阪平野の平地からいよいよ山間丘陵地帯に入ろうとする地域。宝塚市小浜宿を起点とする有馬街道は武庫川を渡って武庫川西岸の斜面を駆け上がる。その段丘上に旧生瀬宿の町並みがある。
 明治33年に今の福知山線が三田まで開通するまで約300年にわたって宿駅として賑わった。宿駅時代は何度も大火を経験しているようで、現在の町並みは文化10年(1813年)の大火後に建てられた建物まで遡ることができる。町並みの特徴は妻入であり、摂津国から丹波国にかけて分布する妻入地域の最南端に位置する。町の大きさはその立地する地形から容易に拡大し得なかったようで、宿駅時代とあまり変わっていないようだ。妻入を基本とする町家も間口が3間半から4間と標準的なサイズで統一されている。理由は、農業を生業としながら馬継ぎという交通関係の仕事を行っていたからのようで、馬継ぎの宿駅の特徴であるといわれている。
 生瀬駅は駅前にはさほど商店もなくひっそりとした駅で、旧有馬街道に面している。旧街道を東へ坂を上ると一直線の旧宿場町となる。そこに妻入の町並みが期待されるが、1995年に起きた阪神淡路大震災の被害は結構大きかったようで、建て替えられた家や空き地、外装にサイディングを貼った家(阪神地区で震災後の改修で良くみられる)が多く、妻入の町家も数軒しか残っていないのは残念である。
大阪平野も宝塚あたりで終わり、旧有馬街道は丘陵地帯に入っていく。
阪神大震災の影響か、空き地も目立つ。古い町家も数棟しか残っていない。
摂津・丹波に見られる妻入りの町家
この商店は平入りで大きな敷地を持っている。対面する敷地も大きく、この辺りがかつての中心か。
宿場の中心から山裾に建つ寺に向う通り。
旧街道に残る町家
宿場の東端エリアには何とか町並みが・・・
河岸段丘の縁では、一直線に宿場町を抜けてきた街道が南へ折れ、石垣の間を川に向って徐々に下っている。
参考資料 リンク
西宮市

参考文献
『図説 日本の町並み8 山陽編』 太田博太郎他 第一法規