箕輪 3階建の養蚕農家が群をなす山村集落

群馬県
みなかみ町
(旧新治村)
布施
字箕輪

中之条町
大道




交通






箕輪




中之条町大道




2007.05.04
旧三国街道布施宿付近は旧新治村(現みなかみ町)の行政中心だった場所で国道17号線から南へ入ったところに旧役場がある。役場脇から須川沿いにさらに奥へ行くと異様な集落が出現する。何が異様かというと群をなす民家が全て多層の養蚕民家で、いろんな形態が集まっているからである。群馬県はわが国の中でも1,2を競う養蚕が盛んだった地域で、寄棟や入母屋屋根の妻面を切って兜造り化したり平面の一部を切り上げたりして屋内を多層化したもの、切妻2階建てをベースに3階化したものが見られるが、ここ箕輪ではそれら養蚕民家の両タイプが純度高く集中している。箕輪の養蚕民家は何れも明治20年代に建築されたもので、当時の養蚕隆盛期を窺い知ることができるが、何と昭和60年ごろまで続いていたという。それが養蚕民家が現在まで姿を変えず存在し続けている理由なのだろうか。
多層養蚕民家が見られる地域は、他に兵庫県但馬地方や山形県田麦俣、岐阜県白川郷、富山県五箇山がある。
集落の入り口から眺める。国道17号線からちょこっと入ったところに突然純度の高い多層養蚕民家が群をなす集落が現れるためギョッとする。
寄棟屋根をベースに妻面を切って兜化したり平面の中央を切り上げたりして2階を蚕室にしたタイプ。
切妻出梁造りをベースに屋根の中央を上げて3層化し、煙出しの小屋根を立ち上げたタイプ。
土壁の真壁の養蚕民家。
集落内の通り。
切妻3階建てタイプの養蚕民家。2階は個室化して子供部屋などに改造している。3階はどうしているのであろうか。
入母屋屋根の平面を切り上げたタイプ。トタンカバーの色と意匠によってガンダム化している。
こういう多層養蚕民家の密集する風景は、関西では兵庫県但馬地方に良く似ている。

旧新治村からは離れているが、中之条町大道地区に18世紀末と推定される養蚕民家富沢家住宅を紹介する。ひらかぶと造りで、土間や座敷の上部は吹抜けている。この地方の養蚕民家の発展途上の形態と思われる。(左上、上)
参考資料 リンク
みなかみ町
中之条町

参考文献
『日本の町並みV 関東・甲信越・東北・北海道』 西村幸夫監修 平凡社