常盤平 建設当初の姿が見られる緑豊かな大規模団地

千葉県
松戸市
常盤平団地
1,2,3



交通

新京成電鉄常盤平駅下車徒歩




常盤平




2008.01.05
高度成長期時代に建設が進められた団地も、古いものでは築50年近く経っている。常盤平団地は日本住宅公団が手がけた大規模団地の中では特に古いもので、昭和35年4月に入居が開始された。戸数は4835戸もあり、賃貸型である。
新京成電鉄常盤平駅から南へまっすぐ象徴的なけやき並木が続いている。駅前ロータリーから駅を振り返って見ると、駅そのものも高層集合住宅になっていることに驚かされるであろう。けやき通りは、さくら通りとの交差点を過ぎると東側にショッピングセンター、西側に標準的なフラット型の白い住棟をドミノ倒しのように規則正しく並べている。住棟の敷地は現代のマンションの感覚からするとやや無防備と思われるほどパブリックで、自由に通り抜けることが可能である。フラットの住棟の間を抜けると、ポイントハウスと呼ばれる星型の住棟が現れる。このスターハウスが円弧を描くように配置されているが、庭の広がりと豊かな緑と調和した環境はとても素晴らしい。
50年前には新しい住まい方として憧れの的であったが、一方で人工的であるが故に「人の住むところではない」などと嫌った人もいたであろう。しかし、今ではこれほどまでに豊かな住環境をもった都市住宅は珍しいと思われる。常盤平団地は建て替えがなされていないため、初期ながら当初の状態が守られている貴重な大規模団地の一つと言えるのではないだろうか。
公団住宅の町らしく駅ビルそのものが「常盤平一丁目市街地住宅」という高層集合住宅になっている。
新日本街路樹百景に選定されている「けやき通り」が駅前大通り。建設当初は小さな植樹だったでしょうが、今では素晴らしい緑。(左)

けやlき通りに面するフラット型住棟。通りとの垣根の低さがいい。(下)
けやき通りに沿って敷地内にも歩道が計画されている。(上)

冬至の太陽高度を基準に住棟が配置計画されているので、冬でも全戸に燦々と日が差し込む。

北側から入る典型的なタイプ(N型)。(左)
松戸だからであろうか、自然の植生だろうか、松が要所に植えられている。(左上)

公園(左)

いまや懐かしささえ感じる団地の住棟番号。(上)
スターハウスは、常盤平団地のポイントハウスとして憧れの住棟だったのであろう。(左上)

階段は三角形の吹き抜けを持つ。(左)

階段の踊り場脇にはダストシュートがつく。これは当初の計画通り使われていないもので、ガラクタが突っ込まれていた。(上)
住棟間の空地が本当に豊かである。日本の住宅はいつの間にやら建てこんだマンションでも平気になってしまった。
ラドバーン方式に従って、住区単位で車動線を閉じてそこに駐車場を配置し、歩行者動線と分離している。一戸一台以上の現代では駐車場が足りないだろうに、大幅に増やすことなく豊な緑を守っているのは素晴らしい。
中央商店街広場。割と乾いたランドスケープの広場周りを店舗が囲んでいる。この形態は意図された機能が果たされていない。ここについては、もっと界隈性のある店舗街に建て替えてもいいと思う。
広大なグラウンド。野球の試合を4つくらいできる広さである。周りの緑も豊か。

庭の手入れがよく雑草が見られないのもすごい。(左)
参考資料 リンク
松戸市

参考文献
団地百景