篠島 かつて三河伊勢湾の交通の要衝だった漁師の島

愛知県
南知多町
篠島
神戸
堂山





交通

師崎港、河和港より高速船





篠島





2014.11.24
知多半島の先端近くに浮かぶ島で三河湾と伊勢湾に臨む。周囲9km、南北に長く、最高点は標高48m、とても起伏に富んだ島である。天然の良港に恵まれ、古くは伊勢・三河の交通の要衝として賑わったという。今では、沿岸漁船漁業を中心とした漁業が盛んであり、観光業にも力を入れている。
島内には史跡や名所が多く、「万葉集」には「夢のみに継ぎて見えつつ小竹島の磯越す波のしくしく思ほゆ」(柿本人麻呂)と詠まれている。
南知多町の日間賀島、篠島、西尾市(旧一色町)佐久島の3島は、互いに肉眼で家並みが確認できるほど近く寄り添っているが、集落景観の印象は異にする。佐久島は黒板壁と瓦屋根の伝統的な集落景観が残り、日間賀島と篠島はカラフルに塗装された下見板の民家が多く密集度が高い。そして、日間賀島と篠島を比較すると、篠島の方が起伏に富み、観光色が強い日間賀島に対して、篠島は漁業の島という印象が強い。平地が少なく、島の北側を昭和30年代に大掛かりに埋め立ててた宅地があるなど、3島の中では過疎化が最も進んでいないようだ。漁村の活気を感じる。
港は時代と共に北上しており、町も埋め立てとともに拡大しているため、平地部の町並みは時代を読む面白さがある。一方、起伏に富んだ丘上の集落は路地が迷路のように入り組んでおり、集落ウォッチングとしては巡る楽しさがある。また、斜面に建つ家々の多くは土台から迫り出すような形式である。路地を狭めず家をできるだけ広くしようとした工夫であろう。それが三次元の複雑さを増すことにつながって、独特な集落空間を生み出している。

郵便局や漁協がある島の中心近くに1988年まで船着き場があった。
その近くに旅館(廃業)や古い町並みが見られる(上、左)

旧船着き場周辺の町並み
起伏が激しいので三階建てに見える建物が多いが、下は石垣やコンクリート造である。
 
漁協近くの町並み
この一角に写真のような大きな民家や蔵が見られた。

漁協近くの平地の町並み
古くに埋め立てられたエリアだと思われ、規則正しく短冊状に町割りがされている。間の路地の景観は面白い(上、左)
これだけの漁師町であれば遊郭跡があるだろうと探ったが、この程度しか見つけられなかった。短冊状の町の一角である。
下見板張りがこの集落の特徴
一番古い港にあった造船所
漁港から坂を上ると丘の上に神明神社がある。伊勢神宮の式年遷宮の際の古材(御用材)を使って20年前に建立された(左)

黒板壁の佐久島とは対照的な、カラフルな板壁。ところが、パステル調で皆とても良い色合いをしていた(下)

最も古い港(左上)
集落の南は起伏が険しくなっていく(左下、上)
 

南東海岸(三河湾側)の集落
このように土台から建物が迫り出すのが篠島の民家の特徴でもある。路地を狭めず家をできるだけ大きく建てる工夫であろう。柱がどうやって通っているのか軸組を知りたい。
参考資料 リンク
南知多町
篠島観光協会

参考文献
日本の島ガイド シマダス