中村大門 現代都市の異次元空間 見事な妓楼が並ぶ街

愛知県
名古屋市
中村区





交通

市営地下鉄東山線中村日赤駅下車





中村





2005.11.08
2017.09.09
名古屋駅太閤通口(新幹線側)から真っ直ぐに西に延びる通りは旧中村遊廓を串刺しにしている。名古屋の中心市街は名古屋駅の東側にある。城下町の法則にしたがって国鉄の駅が中心市街地から離れた西側にできた訳だから、さらにその駅の西側は何も無かった。そこに大正12年、大須観音近くにあった旧旭遊郭がこの場所に移転し、整然と都市計画がなされた新旭遊郭が誕生した。その生い立ちは大正7年にできた大阪の飛田遊郭と立地、街区形状などで酷似している。3万坪の正方形の土地を五町に区画し、センターに東西と南北の大通りを通し、角に斜め45度の道を配しており、地図を見ると明らかに周辺街区とは異なった町であることが見て取れる。「全国遊廓案内」によれば、「建築物も堂々たる大廈高楼(たいかこうろう)と成り、一切の設備も完備して一大遊廓と成った」と表現されている。それほど一軒一軒の建物は立派だったようで、現在点在して残る旧妓楼建築を見ても迫力が感じられる。昭和初期で貸座敷は139軒あって娼妓は1650人も居た。
町外れという立地から戦災に遭っておらず、戦後は名楽園と名を変えた赤線地区となって伝統様式の妓楼建築が建ち並ぶ指定地として存続した。現在は名古屋のソープ街となっているが旧遊廓の目抜き通りだけであり、町の中には多くの旧妓楼建築が残っていて料亭やビジネスホテルとして使われている。周辺は戦後開発された市街地ですっぽり囲まれており、現代都市の中にある異次元空間である。東西の目抜き通りの延長線上に名古屋駅の超高層タワーがそびえるが、戦前の大廈高楼も負けずにマッチしているところが面白い。
四海波に次ぐ大店だったという稲本は料亭となっている。
料亭稲本の前の通りは、遊廓の田の字型街区の北辺にあたる。(右)


寿町の長寿庵は中村遊廓の中で最も見ごたえのある建物である。(下)

長寿庵の壁のレリーフ。(上)
寿町の町並み(左)



伝統的な遊廓建築に光るタイルを貼ったモダンな壁が被された建物。
「TURUNOYA」と書かれていた。

羽衣町の町並み(左)
店としてはなんら営業していないと思われる旧妓楼建築(大門町)。
伝統的な切妻建物の前面を白く塗って見かけを変えた建物。
2階に細やかな格子を回した旧妓楼。
かつての妓楼も現在はビジネスホテル。
大門町のアールデコ調の建物。
東西の目抜き通りは現在はソープ街となっている。しかし、スーパーユニーが面して建っていたりしており、小さな風俗街といった印象。
東西の目抜き通りの町並み 
旧遊郭の門前にある大門横丁

旧遊郭の門前にある大門横丁(左)と大門小路(上)
参考資料 リンク
名古屋市

参考文献
『赤線跡を歩く』 木村聡 自由国民社