有松 現代都市の異次元空間 豪商が並ぶ絞染の町

愛知県
名古屋市
緑区
有松町
有松





交通

名鉄名古屋本線有松駅下車徒歩下車





有松





2005.10.07
有松は名鉄名古屋本線で名古屋駅から22分、名古屋の中心市街からマンションの建ち並ぶ郊外住宅地へ変わったあたりにある。国道1号線から東海道の旧道に入っていくとタイムマシーンで違う時代に迷い込んだような都市空間に変わる。有松は東海道の鳴海宿と池鯉鮒宿(ちりゅう)の間、茶屋のある合宿で旅籠は無く、東海道を往来する人々に絞り染めを商い発展した。現在、旧街道沿いには、「有松絞」で全国的に知られる絞り染めの問屋が豪壮な商家を並べている。有松の町は、天明4年(1784年)に大火がありその後建てられたもので、防火対策から塗籠造り、瓦葺き、卯建を特徴としている。明治・大正期の建物を中心に幕末から戦前にかけての建物が多く残っている。
旧東海道は自然の地形に従って緩やかに曲りアップダウンしていて、町並みとしてのシークエンス(連続する景観の変化)も面白い。このような歴史的町並みが現代都市の中で生きづいていることも驚きだが、それだけ過去の繁栄による蓄積が物理的にも精神的にも大きかったことを感じる。
旧東海道を江戸方向から入っていくと手取川を渡り旧市街に入る。天明の大火は町を消失するほどのものだったようで、その後建てられた塗籠造りの町家が出迎える。
有松は台地上に形成されているが、自然の地形に従って右に左に、また上下に変化する。
有松絞りの商家。銅板貼りの建物。
名鉄有松駅に近いこの辺りが一つの見所ポイント。奥の奥に古い町並みが続くシークエンスが有松の町並みの最大の特徴。
宿場町であれば間口が限定されるが、ここ有松では間口を広く構えた商家が多い。主屋と付属屋である蔵が街道に沿って並ぶ。(左)

県有形文化財の服部家住宅。屋号を井桁屋と名乗った絞り染め商家の代表的なもの。本卯建を上げ黒漆喰で塗籠めた主屋、海鼠壁を回した白漆喰の蔵。(下)

服部家の本卯建。(上)
有松駅近くの町並み(左)

駅前から旧東海道を横切る大通りが整備され町並みが分断されてしまった。(上)

竹田家住宅(市指定有形文化財)
付属屋は江戸期、主屋は明治期と言われる絞問屋。(左)

この写真は1980年代に訪れた際のもの。

毎年10月に開催される「有松祭」に使われる山車を納める山車小屋が見られる。(上)

もう一つの見所が町並みの最も京寄りのところ。(左)
ここも蛇行しながら上っている(京方面から見て)景観が素晴らしい。右手の大きな商家は小塚家住宅(市指定文化財)。
参考資料 リンク
名古屋市

参考文献
『図説 日本の町並み6 東海編』 太田博太郎他 第一法規
『歴史の町並み 関東・中部・北陸編』 保存修景計画研究会 NHKブックス
『歴史遺産 日本の町並み108選を歩く』 吉田桂二 講談社
『日本の町並みT 近畿・東海・北陸』 西村幸夫監修 平凡社