甲州街道 初狩・黒野田・駒飼(2003.01.19)

中途半端に近い集落町並みって、なかなか行く機会が得られないものです。たとえば東京在住の私の場合、東京都の奥多摩にある斜面上山岳集落にはまだ訪れたことがないし、伊豆諸島はどの島へもわたったことがない。群馬県の上野村などは、信州から帰る際、中央道、関越道が混んでいる時の迂回路として、十数回も通過はしているが集落を歩いていない。
今日訪れた甲州街道の笹子峠を挟んだ3ヶ所の宿場も、何十回も通過したことか。そのたびに「結構残っているからいつか見なくちゃ」
と思いつつ20年が過ぎ去ってしまった・・・。

日曜日の午後3時になってどこか行きたくなった。こんな時に、中途半端に残しておいた場所に行くのが得策だ。甲府へほうとう食べに行いくか、筑波山麓の和風レストランに行くかの2者択一を家族から迫られた。冬は日が短い。今からなら高速を飛ばせば、懸案の甲州街道、初狩、黒野田、駒飼の町並みがかろうじて絡ませられると瞬時に判断し、甲府を選んだ。
首都高永福ランプを3:20に乗って初狩に4:20着!何とか3ヶ所見られそうだ!しかし、高速道路の巡航速度は人には言えない。

初狩は甲州街道の宿駅。国道がバイパス化されなかったため、ビュンビュン車が走る国道20号線沿いに町並みが多少残っている。車が止め難い環境がこの町並みを現在まで敬遠せざるを得なかった原因でもある。元々の街道は起伏があったものと思われるが、国道は走りやすいように一直線の勾配にしているため、両側の町並みは道路より低く半分埋まっているようになっている。

初狩の半分埋まった町並み

最大の見所は、懐かしい赤いポストのある辺りで、「山本周五郎先生生誕の地」の碑がある
「みどう」という屋号のお宅。立派な切妻平入り瓦葺屋根の2階家である。

「山本周五郎先生生誕の地」

屋号「みどう」の住宅とポスト

初狩 町並み入口付近の民家

次ぎは急いで笹子へ。黒野田宿の町並みを探した。過去何十回も通過し、記憶では町並みがあったはずだが古い民家が見当たらない。記憶違いか、変わってしまったのか・・・。JRと交差する笹子駅辺りに多少面影があった。そのちょっと笹子峠よりに古い町並みがあったであろう家並みがあるが見所は無い。

黒野田宿 笹子駅付近

旧甲州街道はここから笹子峠を越える。今は冬なので旧道は雪で通行止め。笹子トンネルをくぐって、大和村側から入っていく。この旧道も何回か走っており、以前より駒飼宿の町並みはチェックしていた。あたりはすっかり暗くなったがデジカメなら撮影可能だ。雪も降り出し大急ぎで巡る。駒飼宿は沢から峠に向かって曲がりながら上る旧街道に沿って、甲州お得意の突き上げ屋根の養蚕民家や切妻民家が5、6棟残って町並みを形成している。かつての旧甲州街道が体感できるいい集落だ。甲州街道の他の宿場に見られるような切妻平入の町家は見られず、農家型の民家が並ぶ町並みだ。

もう日は落ち真っ暗になったため、旧甲州街道を辿って勝沼の町並みを確認しつつ、山梨県内で展開するほうとうレストラン、小作石和店でお決まりのちゃんこほうとうを食べ、国道20号線を戻り帰路に着いた。

駒飼 旧道沿いの町並み

駒飼 突き上げ屋根の民家

駒飼 右手は笹子峠へ