富士五湖(2004.04.17)
 

集落探訪の足となる車が変わった。その筆下ろしをかねて娘と母を乗せて午後から富士山方面に出かけた。中央高速道は長い間かかった車線拡張工事が終わり上野原あたりから上り下り車線が増え、富士五湖線も早々と分岐するようになった。「そうだ都留に行こう」と途中の都留インターで高速を降りた。富士山は前方にうっすら姿を現した。
都留
都留の町こそ数十回も通り過ぎているのに歩いたことの無い町。都留は、富士山の裾野が桂川沿いの谷に続いておりその上に町が形成されているので、町全体が富士吉田へ向かう国道139号線沿いに徐々に上っている。国道は大変交通量が多く歩道が無いためのんびり歩く雰囲気はないが、後背に養蚕地域をもつ甲斐絹本場物の生産地として栄えた町。大火もあって、古い町並みとしての連続性は乏しいが、近代に発展した様子が、2階が高い町家や洋風の商家などに伺える。
長浜
富士五湖のひとつ河口湖西畔にある集落。せっかくメジャーな河口湖畔にありながら富士山が見えないため観光化されていない。
集落は赤いトタン葺屋根が目立ち、草葺屋根を覆ったものと屋根を落としたものとがある。草葺民家は「かぶと造り」という富士山麓から奥多摩地域に分布している養蚕農家の形態。
サンゴ礁の岩で塀を築いている沖縄の民家のごとく、ここでは富士山の溶岩で塀を築いている家も見かけた。
忍草
忍野村は富士吉田と山中湖の間にある村で、富士山からの伏流水が滾々と湧き出るかぶと造り民家の集落。ここを訪れたのは20年ぶりである。忍野八海のあたりはすっかり観光地となってしまったが、その周りの忍草集落には多くのかぶと造り民家が保存されており、屋根の高い多層民家の並ぶ独特な集落景観が見られる。かぶと屋根の形状が不思議に富士山と呼応するから面白い。